ガイドさんは、とても多くのことを教えて下さったので、以下に備忘録として残しておく。お聞きしたことを列記したに過ぎないのでご容赦を。以前に記事内に少し書いた部分もあり長いので、スルーして下さい。
備忘録その2 に続く。備忘録 その1言語
イラン語(=ペルシャ語)には36の文字があるが、アラビア語は32で、お互いは通じない。イラン人にとって、コーランがアラビア語で書かれているので読むことは出来ても、アラビア語はわからない。
フランスの影響を受け、フランス語が人気で、現在では一般的に 「有難う=Merci」 とイラン人通しでも言う。
教育今年から、小学校から英語とアラビア語を教えるようになった。
義務教育は小学校から高校までで、今までは5・3・4制だったが、今年から6・3・3制に変わった。
10月から新学期となり、夏の3か月間は夏休みとなる。
私立の中学校などもあり、お金持ちは私立に入れる傾向。大学への進学率は約90%と高く、そのうちの64%が女性。週末だけの大学や通信教育などもあり、仕事と兼ねている人も多い。宗教イランの人口の90%はイスラム教徒のシーア派で、スンニ派はイラク沿いなどに居るが少ない。他の信者としては、ゾロアスター教が多く3~4万人。我々のドライバーさんのお母さんもゾロアスター教徒とのことだった。 シーア派は、古来からあるゾロアスター教とイスラム教とがミックスした部分がある。
少数ではあってもユダヤ教徒、キリスト教徒(アルメニア人)なども。
4~5年前から、女性の為の神学校も造られた。ただし、女性は聖職者であるイマームにはなれないので、学校で教えるなどの職業につく。モスクで一番前に立つことは出来ない。通常、イスラム教のお祈りは1日に5回だが、シーア派は1回目、2回目と3回目を1度に、4回目と5回目を1度にしている。 思わず、だったら3回だね?と私が言うと、いや、5回とのこと。なるほど。。。暦は、西暦、イスラム暦が2種類(ムハンマドが生まれた時からと、メッカに移動した時から)、ゾロアスター暦、パーレビ暦(パーレビ国王時代のみ)がある。
シーア派ではイマームが重要。第一イマーム、そしてその第一イマームの息子で第二代のホセインが特に大事であり、第12代のイマームは行方不明のままということで、700年が過ぎている。。。ホセインは、イラクはキャルバラの地で72人の同朋と共に、水を断たれて殺されたことから、モスクなどに水瓶があったりもする。金曜の礼拝は、10時半~11時頃から約1時間スピーチが行われ、それへの参加は任意。その後に礼拝が1時間ほど行われる。テヘランでは通常約5~10万人が集まるので、交通渋滞を緩和させる為、専用バスが出るなどする。
テヘラン大学でも金曜礼拝を行うので、外にもメッカの方向を示す線が引かれている。
巡礼
イスラム教徒としては、一生に一度はメッカに巡礼に行くことを夢としているが、巡礼の時期だけでも500万人の巡礼者を受け入れるサウジアラビアからは、イランからの巡礼者数は1年間に10万人と割り当てられており、15年先までもすでに予約で埋まっている。
メッカは世界中で一番観光客が多い場所。
交通網が整備されていなかった時代には、馬などを使ってメッカまで行ったので、1年がかりの巡礼となり、お金持ちしか行けなかった。
巡礼の時期は、イスラム暦は毎年10日ずつずれるが、今年は9月25日~10月末。ムハンマドが生まれたメディナにはコーランが読み上げられた洞窟があるので、メディナもメッカの巡礼と共に訪れる場所となっている。
期間中以外にも巡礼に行くことは出来るが、期間中に行くとさまざまな儀式も異なり、ハジと言われる生まれ変わりになれるのだそう。巡礼に行った人には、敬称がわりに名前の後にハジとつけて呼び、ハジは男女共になれる。巡礼から帰って来たら、よりもっと教え通りに生活しなければならないので、実は大変とのこと。車高速道路の制限速度は120キロ。有料なので、トラックが少ない。
トラックには検問所が各地に設けられていて、GPSやタコメーター、検問所の通過記録をチェックすることで、スピードの出し過ぎや1日8時間以上の労働を防止している。 そのお蔭で10%事故が減った。
スピードメーターで測っていたり、覆面パトカー、あるいはダミーのパトカーの立て看板をしている所も多々。
スピード違反で50キロ超となるとレッカー。高速道路で捕まってしまっても、いきなりそこで車をレッカーされてしまう。50キロまでだと罰金10000円、30キロまでだと罰金5000円。
減点方式が今年から導入されたが、1年にある特定の1週間の間だけ何も違反を犯さなければそれまでの減点も取り消されるという方式なので、意味がないとのこと。
ネズミ取りは、対向車がライトで教えてくれた。これはヨーロッパでも同様だったので、万国共通のドライバーの連帯意識だなぁと。
丁度、取り締まりで捕まった人と警官が握手しているところを見かけた。同じ地域の人などであれば、見逃してくれることが多く、賄賂はとらない。他の地域から来た車は捕まる。
車はプジョーが多い。プジョー405はイランで生産している。160~200万円ぐらい。
サマンドという種類の車はイラン国産車で、エンジンはプジョー、デザインはイランとなっている。 約110万円~
韓国のKIAはイランで生産していて、一台25~30万円と安い。
車は、働いていれば一人一台は持っている。
メルセデス社の48%の株を、パーレビ国王が買っていて現在もイランが所有しているので、警察車両などにベンツが使われている。 車両は輸入して組み立て式だったが、経済制裁以降は輸入はストップ。
イラン国産車は、急ブレーキをかけるとブレーキランプの代わりにハザードランプが点滅するようになっている。車のナンバープレートは後ろ二けたが地域番号で、ぞろ目がテヘラン。 (数・数・アルファベット・数・数・数 / 地域番号の数・数)テヘランのタクシーには黄色と緑色があり、5年前から個人会社が所有する緑が登場。料金はいずれも同一。エネルギーガソリンは、2年前から登録車にはカードが与えられ、月に60リットルまではガソリンが1リットル約40円、ディーゼルの場合は1リットル約15円となっている。
ガソリンで60リットルを超えると1リットル70円となっている。ハイオクは80円。
経済制裁を受けて値上げされる前までは、ガソリンが1リットルが10円で、電気代やガス代も安かった。
制裁前は、原油精製能力がなかった為、いったん原油を輸出して精製されたものを輸入していたが、輸出が不可能になったので、精製を自国でするようになった。精製会社は2つある。
4年前から、一人当たり約4500円のエネルギーの補助金が国から振り込まれており、一定以上を使えばその差額は自腹、少なくすめば差額をもらえるというしくみで、エネルギー重視という方針に変わった。
基本的にイラン人は夏は寒いぐらいにクーラーをきかせ、冬はTシャツでOKなぐらいに暖房をきかせるのが常だったので、経済制裁以降、エネルギーへのとらえ方が徐々に変わってきている。
因みに、天然ガスは世界第二位の産出量。
現在、原子力発電所は稼働中で、以前はUNの査察の車が良く高速道路を行きかっていた。
風力よりも火力発電が多いが、シーラーズで太陽電池も行われている。
車によっては、天然ガスとガソリンの2つのタンクをつけているものも。天然ガスの方がガソリンより少し安い。
自然砂漠や沙漠があるが、いずれも雨が降っても全部流れてしまって緑が育たない。現在、カスピ海の水を真水化して砂漠に水をもたらし緑化するという計画がある。
カスピ海沿いの山には別荘が多く、普段なら1時間で行ける所が、シーズンともなると大渋滞で12時間かかることもある。
テヘランは標高1300~1500メートルだが、すぐそばに3000メートル級の山があり、冬場はカスピ海側の山の斜面ではスキーも出来て、9か月間は冠雪している。
周囲を山に囲まれたテヘランは車の排気ガスが問題で、冬場もひどい。 イスファハンなど都市部でも、やはり排気ガスの問題をかかえている。オアシスでは杉や松のほか、沙漠界隈では水不足に強い桑の木が多く、沙漠で突然緑があるのは、必ずそこにカナート(水路)がある。
石油はアフワーズ近郊、イラク国境、カスピ海で採れる。テヘランでは地震の大きなものは未だ起こっていないが、古い建物を新しくしているところ。ただし、地下にガスパイプが張り巡らされているので、大きな地震が来たら、火災が襲うことは必至と。
竜巻が非常に多い。イランで一番暑いのはアフワーズで、夏などは摂氏57度まで上がることも。誰も昼間には出歩かず、朝と夕方に活動する。
他の地域では車の窓ガラスをスモークにすることは禁止されているが、アフワーズの車にだけは日除けとして認められている。
そのアフワーズから車で約40分でイラクに行けるが、イラクから砂が飛んできて大変。フセインの時代には、その砂が飛ばないようオイルを撒いていたが、今は飛んできて大変とのこと。
仕事平均公務員賃金は月収15~16万円。学校の先生などは夏3か月と冬1ヶ月お休みがあることから月収5~6万円と低めとなっている。
医者が一番人気の職業。失業率は国は15%と発表しているが、実際にはもっと高いと思われる。兵役
兵役は2年間あり、女性には課されない。
高校卒業後や大学卒業後、あるいは医学生なら資格取得後に軍医として勤務することになる。
食お肉は高い方から、ラクダ肉>牛・羊>山羊>鶏 となる。
ラクダは普通のお肉屋さんにはない高級なものだが、野良になっているものがたまに居る。羊肉の値段は時期によって異なる。メッカ巡礼をして来た人は毎年生贄として羊を買って、さばいて近所に分けるので、羊一頭は高くても、お肉を分ける時期になると市場の羊肉の価格は下がる。
卵は一個約20円だが、これでも倍に値上がりした。
キャビアは、イラン人には値段が高過ぎる上、味もそれほど好きではない。キャビアは空港か街のデパートでのみ買える。グレープシーズオイルが健康にも良いとのことで、最近は人気。オリーブオイル、コーンオイルなどがあるが、パームオイルは作っていない。マレーシアのボルネオなどではそのパームオイルを採る為にオランウータンの住む森を伐採してヤシばかり植林していたのだが、、、消費税は野菜やパンにはかからないが、お米には今年から2~3%かかる。ピスタチオや車などは5%。スポーツサッカーは弱くなったので、レスリングやテコンドーが人気。
ベッカムなどが広告として登場。
街を見てもとにかく文字広告や製品のみを示した広告ばかりで、特定の有名男優や女優が広告しているのを見かけない。珍しく人物が出ていたとしても無名俳優が広告しているだけなのだそう。
その中で、見かけたのは、スポーツ店の看板にジャッキー・チェン、スポーツシューズ店の前に貼られたクリスチャン・ロナウドのポスターだけだった。
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