備忘録その1 からの続き
ガイドさんは、とても多くのことを教えて下さったので、以下に備忘録として残しておく。お聞きしたことを列記したに過ぎないのでご容赦を。以前に記事内に少し書いた部分もあり長いので、スルーして下さい。
対 西洋
イランにある大使館としては、アメリカ大使館はもとより、イギリス大使館もなく、数か月前にはカナダ大使館も閉鎖した。
しかし、アメリカ人でもイランのビザを入手して入国可能。
イランのビザは、アラブ首長国連邦のドバイにある、スウェーデン大使館かスイス大使館が代行を行うことで入手でき、イラン人もドバイにあるアメリカ大使館でアメリカのビザを入手できる。
結婚
都市部の婚期は、女性が20代後半、男性は30代後半、子供は一人っ子が多くなってきている。 結婚が遅れている理由のひとつは、都市部では男性が家を用意しなければならないが家の価格や賃貸費用が高騰していることにあるので、政府が結婚を促進する為、都市から郊外20キロほど離れた場所に国がアパートを建てて若い人達に売っている。賃貸にしても、100年ローンなどとした。現在のアフマニネジャド大統領になってから行われた政策のひとつ。
女性は嫁入り道具として家の中のものを一切用意する。鏡、冷蔵庫、家具、コーランなど。男性は家を買うか借りるかする。
結婚式では、男女別々で祝い、女性側にだけ新郎が現れ、途中からは男性側のパーティに新郎だけが行く、つまり男性側のお客さんは新婦を見ることはない。
女性はめちゃくちゃ派手に着飾る。 家で行われるパーティであれば、男女一緒になるが、その際は女性はスカーフをはずしたりはずさなかったり。
夫人以外の女性と結婚できるかどうかという点に関しては、正式な第一夫人が認めれば、短時間であれば何人でも良く、その短時間というのは99年とのこと。。。昨年、そのシステムが変わり、4人の妻を持つことが正式に認められた。
離婚は合法。ただし離婚は良くないという風潮がある。浮気をしたら死刑だが、浮気相手が独身であれば死刑にはならない。つまり家庭を壊す方は死刑という考え方。
結婚式前の性的関係はご法度で、デキ婚はないことはないが非常にまれ。
売春婦もいるが、専用の建物などはなく、立ちんぼさんがいる。
同性愛はコーランで是とも非とも明記されていないが、実質は無理な風潮。
ただし、女性同士が手をつないだり(韓国もそうだが)、男性同士が肩を組んだり手をつないだり(モロッコでもそうだった)は友情の印として普通の行為。ただし男性同士が腕を組むことはない。
男女差
寿命は男性が71歳、女性が74歳で、5年前は男性が65歳、女性が70歳だった。
ハマムなど浴場は、男女の使用する曜日を変えることでそれぞれが使っている。
車の運転免許取得の為の教習所があり、最近は女性ドライバーも多い。(※サウジアラビアでは女性の運転は禁止されている)
タクシーの女性運転手も少ないがおり、女性客のみ乗せるタクシーもある。
バイクタクシーがあるが、その運転手には女性はおらず、男性運転手のバイクには男性乗客しか乗ることが出来ない。
バスや地下鉄では前方が男性、後方が女性となっており、家族であれば一緒でも構わない。一方、飛行機の座席や飛行機と飛行場とを結ぶリムジンバスなどでは男女の位置に問題はない。
女性専用の病院もあるが、病院に関してだけは、男性医師が女性患者を診ることが出来る。
美容院も勿論女性専用だが、とにかく派手。
女性は9歳からスカーフをするが、体つきが大人っぽくなれば7歳からでも、あるいはそうでなければ12歳ぐらいからでも良い。
プロのダンサーはいるが、女性はいても男性はいない。ショーなどはなく、結婚式の女性だけのパーティなどに女性ダンサーが呼ばれ、ダンスを披露したり教えたりする。
ビーチは、カスピ海はあまり綺麗ではないので、ペルシャ湾の方が良い。
ビーチはプライベートビーチ以外は、男女がそれぞれ区切られており、男女は別々のエリアで泳ぐことになる。家族連れの場合は、父・子が海に入って、母親は服のまま見ていることが多い。男性は他の女性の前でも水着のみでOKだが、街中は短パンはダメというのもいささか不思議かも。。。
女性が海に入る際は、ヘジャブなどスカーフも被り服もそのままと聞いて驚いたが、実際に見ることに!
お葬式
お葬式は、亡くなって1日目、3日目、7日目、40日目、1年・・・と行われるが、7日目はやる人が少なくなった。 日本のような大安・仏滅などのような暦はないので、いつやってもOKで、通常午後2~5時の間に行われる。金曜は、皆がジャーメモスク(金曜モスク)に行って礼拝するので、他のモスクは空くので、お葬式が行われることが多い。
ファッション
女性の服装は、シーラーズが一番開放的で、続いてテヘランやイスファハンなど都市部。
女性は髪をストレートにするべくストレートパーマをかけていたり、ウイグをつけて頭の上を膨らましていたり。
鼻が高過ぎると男性にもてないので、低くする手術をする女性も。実際バザールで鼻に絆創膏をいっぱいつけた人を見かけたがその人がそうだったのだそう。
派手な衣装は田舎っぽく、現在都会の人はD&Gなどの服を好む。
男性はストーンウオッシュのジーンズが多いが、以前に流行って一旦すたれたが、また流行り出したのだそう。
男性の長髪は以前はやったが今はあまり見かけない。
髭をはやしている人はより宗教色が強く、革命直後のイラン・イラク戦争時には多かった。かみそりの使用は禁止されているがハサミはOKで、もしゃもしゃと伸ばすのもダメ。アフマニネジャド大統領のあの無精髭のようなのは、彼としては伸ばしているのだが、髭が薄い為にあのような風貌になっているのだそう。
アフマニネジャド大統領の2期目再選の時に、反大統領派が緑色の服装をしていたので、選挙時の1~2か月だけは緑色=改革派と見られていたが、現在は緑色の服も問題なし。お酒や麻薬
お酒は外国人だろうが全て禁止だが、裏では日本酒まで手に入る。
家で行われる結婚披露宴では、アラックという中近東、特にイラク、シリアを中心としてエジプトやスーダンのような北アフリカ地方などでも伝統的につくられてきた蒸留酒が振る舞われる。
アフガニスタンから麻薬が入って来る。ディスコやクラブなどもないので、遊ぶことが少なすぎることの弊害とも言える。麻薬のディーラーは死刑、買った人は病院送りとなる。
現政権をどう思う?
現在のアフマニネジャド大統領になってから、貧乏な人達でも保険に加入出来るようにしたり、病院や学校の整備を行うなどした。また、会社などの経営には、今までは親戚縁者をブレインにするのが当たり前だったが、それを禁止したり、税金をあげるなどしたので、中~下層の人達には人気があるが、富裕層には不満。
世界に向けては過激な姿勢を取っているが、国内的には良くやっている方だろうとのこと。
イラン革命は、麻薬取引などもしていたパーレビ国王(2世)を追い落として、シーラーズという街からホメイニ氏がおこしたものだが、もともとの彼の意図したものと実際の革命後の現状では、趣旨が変えられている点が多い。
イラン革命(1979年)以前
革命前は、飲酒もOK、女性もスカーフなどを被る必要もなく、ミニスカートもOKだった。 シーラーズは、葡萄の産地だが、それまではワインでも有名だった。
いきなり革命で厳しくなって人々は不平や不満はなかったのか?と聞いてみたところ、革命後すぐの1980年にイラン・イラク戦争になり、その時は男女が外で一緒にいるだけで逮捕され、男性が女性に声をかけるだけでもNG、それが嫌なお金持ちの人は他国へと逃れた。今は緩和され、デートも全然OK。
外国
外国からの労働力としては、アフガニスタン、パキスタンからやって来ているが、中国は会社ごとやって来ている。
イラクに行って仕事をするイラン人はいても、イラクからイランに来て仕事をする人は言葉の問題もあり(アラビア語のイラク人にはペルシャ語のイラン語がわからない為)いない。
ただし、政府が中国人に対してはチャイナタウンなどを造らせるようなことはしないようにしている。
韓国も企業が来ているが、ドラマ放映により親韓国と言う気運。実際に、英語放送など外国語が一切流れていないホテルのテレビチャンネルでも、韓国時代劇の「イサン」を吹き替えで放送していてビックリした。
韓国時代劇であれば、男女の恋愛はあってもクライマックスでキスシーンがあるかどうかぐらいなので、イスラム教の国での放送には向くのだそう。
外国人観光客は、イタリアやドイツが一番多い。
マスメディア
テレビチャンネルは地上波が8つ、デジタルが8つの合計16。国営だが、スポーツチャンネルや漫画専用チャンネルなどもあり、CMも入る。
映画はほとんどが国内映画で、海外作品は映画祭出品作などで少しだけ上映される。
実際の生活では異なるが、ドラマや映画の中では、女優さんはベッドに寝ている時でもヘジャブを被って演技している。
Google や Youtube は使えるが、「Innocence of Muslims」 の件以降、使わないようにしようと言う機運が高まっているのだそう。
イラン・イラク戦争
イラン・イラク戦争の8年間で、約23万人のイラク人が亡くなったが、行方不明者の数がわからないので、実際にはもっと多い。国連リストに載せていない人もいる為で、軍の偉いポジションだった人などは、大勢のイラク兵との交換などに使われる為に明かしたりしていない場合が多い。
一家庭で一人が戦争に行っていれば、もう一人従軍男性がいても戦地に行かなくて良かった。
若い世代は1988年に終わったイラン・イラク戦争を知らない。
戦争で怪我や亡くなった人の子供が優先的に学校に入学できるなどの措置がされているが、戦争を知らない世代はそれに対してクレームするなど。
戦争が終わった9月22日から10日間は戦争の時の映像を放映するなどしている。
時間の感覚
待ち合わせへの時間の感覚についてだが、テヘランでは渋滞がとても酷いので、30分~2・3時間遅れても理解されるが、田舎で待ち合わせた場合は、待ち合わせ時間よりも早めに来ることもあるのがイラン人気質なのだそう。
その他
テヘランの国際空港はターミナルひとつだが、5つまで造る予定。
絨毯の国外への輸出は、20平米までと制限されている。(複数でも良いが総面積が20平米まで)
ダルビッシュとは、お坊さんのこと。 彼のおじいさんはテヘランのバザールで絨毯屋さんをしていて、お父さんが日本でその仕事をしていたのだとか。
銀行にお金を預けると利子は25%つく。利子なしで預け、年に3回の籤をひくという方法もあり、籤に当たれば車などがもらえる。
ただし、宝くじなども含んだギャンブルは一切なし。
銀行は夏時間は朝7時~午後3時まで、冬時間は午前8時~午後4時まで。
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