藤本隆行氏と白井剛氏による劇場版世界初演の作品。
東日本大震災後の日本が置かれた状況を投影した舞台公演で、今春、神奈川で演じられた同じタイトルの作品をより膨らませて創られたもの。(画像はHPより)
イメージ 1
ディレクション・照明 : 藤本隆行
振付・出演 : 白井剛
出演 : 吉本大輔、川口隆夫、平井優子、カズマ・グレン
音楽・演奏 : 辺見康孝
イメージ 2
とってもコンテンポラリー。映像、音、ライティングを駆使したアートの中で5人のダンサー達がコンテンポラリーダンスを披露するもので、とても実験的な印象。バイオリニストの生演奏に連動するスクリーン映像や音響にライティングが加わる。シュレッダーされたチラシ約5万枚の紙片に埋まる。
内容は、情報のかけらが渦巻く砂漠のオアシスに住み、過去の重大な過ちを悔いながら生きている老人の姿を描く。題のNodeは世界を覆うネットワークの結節点を意味し、絶望の渦中にある老人自身にも重ね合わせているという。
吉本大輔氏の肉体にまず驚かされる。御年72歳。鍛え抜かれたそのシェイプは、決して筋骨隆々なのではなく、そぎ落とされた洗練された肉体と言ったところ。全く私は良くわからないのだが、いわゆる暗黒舞踏家(あるいは舞踏、ブトー)のおひとり。
イメージ 3
背面も単なるスクリーンではなく凸面となっている。そこにクローバーの模様が映し出されたりするのだが、果たしてそれは幸せの象徴なのか、突然変異という異端を意味するのか、考えさせられる。シュレッダーされた舞台上には映像が映し出されるのだが、まるで地獄絵図のようにうごめく人が表現され、そこにからむダンサーさん達は印象的だった。

初日のアフタートークは、あいちトリエンナーレの統括プロデューサーである小崎哲哉氏が司会進行を務められ、ディレクション・照明の藤本隆行氏、振付・出演の白井剛氏、舞踏の吉本大輔氏、音楽・ヴァイオリンの辺見康孝氏の5人。
今春に披露されたものよりも白井氏の出演場面が多くなったこと、もともと白井氏のみが最後全裸になられていたが、今回の作品では白井氏と吉本氏ともになられたことなども話題に。吉本大輔氏は、自身で振付や演出をされて1人で踊られることが多いのだが、今回はご本人いわく 「あーせー、こーせーと言われた」 そうで、他の方々に料理してもらったとのこと。

最後に、いきなりヴァイオリンの生演奏でハッピーバースデーが演奏され、ケーキが運ばれてきて、偶然にもこの日がお誕生日だった吉本大輔氏の72歳のお誕生日を舞台で祝うことに。祝ってもらえるだろうことは知ってたんだけど楽屋でだと思っていて、まさか舞台の上とは思わなかったと、照れながら答えておられた。