東区葵にある名古屋市芸術創造センターが、ホール建築見学会をしていたので、行ってみた。
あいちトリエンナーレとのパートナーシップ事業とのこと。


1983年11月に24億円を要してオープンした六角形を基調とした外観のホールで、地上6階、地下2階、640席(1階490席、2階250席)の多目的ホール。2100平米。多角形ということもあり、109本の杭が打たれている。名古屋市が公開設計競技を実施して、129の応募の中から、1次、2次審査を経て、名城大学建築学科が選ばれた。「街並みに対するインパクト」 「非日常空間と多角形」 を設計コンセプトとしている。

ホワイエからホール入り口にあがる階段界隈。


前の部分の座席はオーケストラピットとしても使える可動式の席となっていて、そこがセリとなり下がる。舞台両サイドはスピーカーではなく可動式の板で、スピーカーはオケピより後ろの時計の上にある為、オケピの上の席では、音が後ろから聴こえてくるという問題もあるのだそう。デザイン上、オケピも6角形の一部となっている。舞台上の左右の横にも席を置きたがったが、実現はしなかったのだそう。

まずはオケピ上にある座席に座り、そのセリが下がっていくのを体験。そこから、奈落横へと。左上に白いシャツの人が立っているが、そこが本来の舞台の高さ。

面白いのは、その奈落横の扉を開けると、いきなりそこは屋外の搬入口となっていて、トラックなどが
横づけ出来る。ただ、搬入搬出用のエレベーターがない為、搬入や搬出物は全てこのセリを使って上げ下げしなければならず、舞台上にセッティングを仕込んでから、追加での搬入は難しい。また、搬出する時は、舞台上の物を綺麗にのけなければ搬出物が載せられないことも。
一方、金山の市民ホールでは舞台と道路が同じ高さになっているので、3カ所の扉から搬入でき、セリで上げ下げする必要がない設計となっている。

今度は、舞台の奈落から徐々に上がっていく。


2段階に舞台が上がるようになっている。オーケストラなどはこのように段差をつけることも多い。
因みに、舞台の高さは観客席から75センチで、着席した目線の高さを意識している。市民ホールでは95センチあり、前の席の人達は見上げることになる。


今度は、地下から舞台よりも高い所へと。

横にある階段をあがっていくと、普段では見ることのなライトごしの舞台や座席を。




ライトの位置からでは、舞台ははるかに下。わずかなブレで、舞台上に当たるライトの位置がずれる為、各ライト担当者は、それぞれの位置に関するメモを前の壁に貼ってははがすので、壁がはげて来ていたりする。


照明の機械は、4~5千万円するとか。

今は少なくなったが、フィルム映画もこれらの機械で上映できる。さしずめ、映画の 「ニューシネマ


照明などのある矢印の場所まであがらせてもらったことになる。
最後には質疑応答も行われ、お話が聞けた。
・残響は1.2~1.3秒。
・吸音材は使っていないが、内壁はコンクリの打ちっぱなしをあえて削ってあるものを使用。
・外壁は本来、10~15年ごとにやりかえたいところだが、名古屋市の予算の問題でそうはいかない。
・来年、セリ、釣りものなどの機械を数千万かけてやりかえる予定。
・稼働率は、日数率で約90%、以前は100%だったが、10数年前にアートピアホールが開館してからは客数に影響が出ている。
・舞台は北枕と同じ考え方で、北側には造らない。このホールは北東に位置する。
・演者からは、客席の近さや角度から、周りから観られているような感じがして緊張すると言われている。
・1階に、幅の広い縦通路が2本ある為、演者から見ると、満席であっても、全席埋まっているという印象を受けないとも言われる。
・演目は、名古屋市民によるバレエやダンスなどが多い。というのも、芝居関連は、興行会社がからむ為、名古屋市芸術創造センターの趣旨と異なることが多いからとのこと。因みに、この翌日には、野口五郎のリサイタルが予定されていたが。
・屋根は完成当初はタイル張りとなっていたが、雨水が漏れることから、金属屋根に変更している。
見学者には、設計の図面や、さまざまな資料も配られ、私のような素人にはわからないのが勿体ないぐらい。
そこには、1981年10月(開館約2年前)の新聞記事のコピーが添付されていたのだが、設計者は、このホールの目玉としてホールの客席と舞台が演目に合わせて12通りに変えられるという全国でも初めての 「動く舞台」 を設計していたのだが、実際には、それを実現する為には約27億円が必要で、市の予算は22億7千万円までだったことから、設計通りとはいかなかったことが示されていた。
色々な文字通り舞台裏を見ることが出来たり、裏話も聞けて、なかなか面白かった。
あいちトリエンナーレとのパートナーシップ事業とのこと。


1983年11月に24億円を要してオープンした六角形を基調とした外観のホールで、地上6階、地下2階、640席(1階490席、2階250席)の多目的ホール。2100平米。多角形ということもあり、109本の杭が打たれている。名古屋市が公開設計競技を実施して、129の応募の中から、1次、2次審査を経て、名城大学建築学科が選ばれた。「街並みに対するインパクト」 「非日常空間と多角形」 を設計コンセプトとしている。

ホワイエからホール入り口にあがる階段界隈。


前の部分の座席はオーケストラピットとしても使える可動式の席となっていて、そこがセリとなり下がる。舞台両サイドはスピーカーではなく可動式の板で、スピーカーはオケピより後ろの時計の上にある為、オケピの上の席では、音が後ろから聴こえてくるという問題もあるのだそう。デザイン上、オケピも6角形の一部となっている。舞台上の左右の横にも席を置きたがったが、実現はしなかったのだそう。

まずはオケピ上にある座席に座り、そのセリが下がっていくのを体験。そこから、奈落横へと。左上に白いシャツの人が立っているが、そこが本来の舞台の高さ。

面白いのは、その奈落横の扉を開けると、いきなりそこは屋外の搬入口となっていて、トラックなどが
横づけ出来る。ただ、搬入搬出用のエレベーターがない為、搬入や搬出物は全てこのセリを使って上げ下げしなければならず、舞台上にセッティングを仕込んでから、追加での搬入は難しい。また、搬出する時は、舞台上の物を綺麗にのけなければ搬出物が載せられないことも。
一方、金山の市民ホールでは舞台と道路が同じ高さになっているので、3カ所の扉から搬入でき、セリで上げ下げする必要がない設計となっている。

今度は、舞台の奈落から徐々に上がっていく。


2段階に舞台が上がるようになっている。オーケストラなどはこのように段差をつけることも多い。
因みに、舞台の高さは観客席から75センチで、着席した目線の高さを意識している。市民ホールでは95センチあり、前の席の人達は見上げることになる。


楽屋内部 愛知県芸術文化センターにはない和室もあるとは。
今度は、地下から舞台よりも高い所へと。

横にある階段をあがっていくと、普段では見ることのなライトごしの舞台や座席を。

どんどん上へ。バトンと言われる釣り操作の上部。この辺りはクーラーも効いていないので、全員に配られた団扇が活躍。


狭い通路をクネクネと行く。

ライトの位置からでは、舞台ははるかに下。わずかなブレで、舞台上に当たるライトの位置がずれる為、各ライト担当者は、それぞれの位置に関するメモを前の壁に貼ってははがすので、壁がはげて来ていたりする。


照明の機械は、4~5千万円するとか。

今は少なくなったが、フィルム映画もこれらの機械で上映できる。さしずめ、映画の 「ニューシネマ
パラダイス」 のイメージか。

この音響システムでも1千万円はくだらないのだとか。

照明などのある矢印の場所まであがらせてもらったことになる。
最後には質疑応答も行われ、お話が聞けた。
・残響は1.2~1.3秒。
・吸音材は使っていないが、内壁はコンクリの打ちっぱなしをあえて削ってあるものを使用。
・外壁は本来、10~15年ごとにやりかえたいところだが、名古屋市の予算の問題でそうはいかない。
・来年、セリ、釣りものなどの機械を数千万かけてやりかえる予定。
・稼働率は、日数率で約90%、以前は100%だったが、10数年前にアートピアホールが開館してからは客数に影響が出ている。
・舞台は北枕と同じ考え方で、北側には造らない。このホールは北東に位置する。
・演者からは、客席の近さや角度から、周りから観られているような感じがして緊張すると言われている。
・1階に、幅の広い縦通路が2本ある為、演者から見ると、満席であっても、全席埋まっているという印象を受けないとも言われる。
・演目は、名古屋市民によるバレエやダンスなどが多い。というのも、芝居関連は、興行会社がからむ為、名古屋市芸術創造センターの趣旨と異なることが多いからとのこと。因みに、この翌日には、野口五郎のリサイタルが予定されていたが。
・屋根は完成当初はタイル張りとなっていたが、雨水が漏れることから、金属屋根に変更している。
見学者には、設計の図面や、さまざまな資料も配られ、私のような素人にはわからないのが勿体ないぐらい。
そこには、1981年10月(開館約2年前)の新聞記事のコピーが添付されていたのだが、設計者は、このホールの目玉としてホールの客席と舞台が演目に合わせて12通りに変えられるという全国でも初めての 「動く舞台」 を設計していたのだが、実際には、それを実現する為には約27億円が必要で、市の予算は22億7千万円までだったことから、設計通りとはいかなかったことが示されていた。
色々な文字通り舞台裏を見ることが出来たり、裏話も聞けて、なかなか面白かった。
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