
ヴェルドリフ Velddrif の Port Owen にある宿で迎えた朝。

反対側の運河は自然に出来たもので、そちらは前日の夕方には数多くの鵜の大群が右から左に途切れることなく飛んでいたのだが、朝はその逆で左から右へと、皆、出かけて行く。

チェックアウト後、ヴェルドリフの街を散策。
ヴェルドリフの街では名物のような光景。この地方特産のオレンジと、乾したボラのBokkoms を売っている。その名も Bokkom Laan という漁師小屋のある通りでは、ボッコムス(ボコム) Bokkoms なるものを作っている。

Bokkoms (Bokkems) は、ボラの幼魚の干物で、中世オランダ語の bok (bokking, buckinc) から来ており、山羊の角のことで、山羊の角のような形、硬さ、そして山羊の匂いのような臭さ、からそう名付けられた。実際には山羊の独特の匂いは角の後ろの部分から発するものであり、このボッコムスは日本人には馴染みの魚の干物の匂い?香り?なのだが。。。
もともとは、喜望峰に初めてヨーロッパ人が入植してから6年後の1658年に、4人の市民がこの地に入植してオランダの東インド会社や、ケープタウンのテーブル湾に停泊している船に獲った魚を売ることとなり、1711年まで続いたのだとか。漁をした魚の5分の1は塩漬けにして乾す方法で売られ、それがこのボッコムスとなった。



最近では、天日干しではなくオーブンで乾燥させるそうだが、このお店はちゃんと天日干しにしていて、雨が降り出すと、慌てて、よいしょよいしょと取り込んでいた。

カラード(白人と黒人の混血)のおじさんは、魚の網を編んでいたが、人懐っこい笑顔で話しかけてくれた。

ヴェルドリフでは、ボッコムの95%が生産されている。どのボッコム工場もそれぞれの船を持っており、かつては、ボラはこのベルグ川でも獲れたのだが、乱獲によりいなくなった為に川での操業は禁止され、今は海で獲っている。
ヴェルドリフは塩の産地としても有名で、南アで一番大きな塩の工場もあるぐらいなので、豊富な塩と目の前の川からの真水、すぐ外に行けば海でボラがいることから、ボッコムの産業がここに定着した。

美味しいと言うと、「一袋、持っていきなさい!」とプレゼントしてくれた。それは申し訳ないので、まるまる一匹のものと、細く裂いたもの等を複数購入。確かに塩辛いのだが、細く裂いたものはそのままお酒のおつまみにバッチリ。スープやスパゲティのソースにアンチョビ替わりに入れたりもするのだとか。
このお店の前のベルグ川 Berg river の船着き場横では、ペリカンのカップルが悠々と。
モモイロペリカン Great White Pelican Pelecanus onocrotalus


その横では、カワセミのカップルがそれぞれ杭の上から餌を狙っている。
ヒメヤマセミ Pied Kingfisher Ceryle rudis

このヴェルドリフという町は本当に自然がすぐ隣にある。道路沿いの湿地では、フラミンゴなども。
オオフラミンゴ Greater Flamingo Phoenicopterus roseus
オオフラミンゴ Greater Flamingo Phoenicopterus roseus


アオサギ Grey Heron Ardea cinerea

コアオアシシギ Marsh Sandpiper (Tringa stagnatilis)と、セイタカシギ Black-winged Stilt (Himantopus himantopus)

ソリハシセイタカシギ Pied Avocet Recurvirostra avosetta

単なる道をドライブするにも、花々が綺麗だった。


この後、ダーリングという町で、フラワーショーなるものを開催しているとのことだったので、寄ってみた。その様子は<14>で。
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