
南アで 「タクシー」 と言うと2種類ある。
日本人が普通に想像するタクシーと、南アの地元の人達の交通手段として利用する乗り合いタクシーとがあり、通常タクシーと言うとその乗り合いを指し、そのドライバー達が今週火曜にストライキを行った。

乗り合いタクシーはいつも乗客でぱんぱん、というか、
一杯にならないと出発しないとか。

ハイウェイによっては、バスと乗り合いタクシーの
専用レーンがあるぐらいメジャーな交通手段。
専用レーンがあるぐらいメジャーな交通手段。

一般道のみならずハイウェイでも乗降が普通に行われるので、ハイウェイの出入り口界隈は混雑することも。


こんな感じで車掌係の人が行き先を示す番号を指で示す。
ダーバンシティの暗号は、片手だが、フラダンスのようにゆらゆらと手で波を表すようにする。いかつい黒人男性がその仕草をしているとちょっと笑えるが。

元気の良い車掌ともなると、身を乗り出して
お客に行き先を告げている。

オシャレなカフェでも、その風景が南アの
風物詩のひとつとして、描かれているぐらい。

Port Elizabeth では、その乗り合いタクシーを切って
オブジェにするぐらい。
しかししかし、風物詩として片づけるようなシロモノではない。
タクシー会社はそれぞれテリトリーがあり、運転手はそのテリトリーをおさえる会社 (ギャングとも言われる) に25000ランド?ほどの入会手数料を払い、月々もいくらかおさめている。そして絶対に他のテリトリーで仕事をしてはならない。もし勝手に入り込んで営業をしていたら、運転手は殺されてしまう。

火曜日にはその乗り合いタクシーのドライバー達によるストライキが発生。
朝のニュースで言っていたので、3月に発生したゼノフォビア問題 Xenophobia 以降、シティには立ち寄っていないが、絶対にダーバンシティ中心部にこの日は行ってはならないなと。
ストライキの要求は、登録非合法などで警察に捕まった295台もの乗り合いタクシーの車両を変換してくれと。
ドライバー達は、朝6時から、ダーバンシティ周辺の道路を封鎖し、バスを停めて乗客を降車させるなどし、朝8時半には約300人のドライバーが、ダーバンの一番のジャンクションである Warwick などの交通を閉鎖。

ストライキと言っても、それは暴徒に近いもの。
道路を封鎖し、ゴミやタイヤなどを燃やし、営業をしているバスや、一般車両への投石までもする。
少なくともバスに乗っていた乗客3人が病院に運ばれ、ストライキの抗議活動をしている所に出くわしてしまい、逃げようとした一般車の人も怪我。一般の人1人や警察官2人も襲われた。もっと酷いのは、生後数か月の赤ん坊が、汚いゴミ箱にドライバー達によって逆さにされて入れられていたこととのこと。
警察は、ゴム弾や催涙ガスを発射。
ストの行進をしてダーバン市役所へと向かっていたドライバー達には、界隈の高層アパートの住人から、水の入ったボトルが落されるなど。
聞くところでは、ストライキをしている火曜に抜け駆けをした乗り合いタクシーを、他のストライキ中のドライバー達が囲んで、乗客がいるにも関わらず、その車を襲って横倒しにした。
以前にあったそうなのだが、ストの時に抜け駆けして仕事をした為に、そのタクシーが襲われ、運転手は勿論乗客まで発砲を受けて殺されたこともある。
今年の場合は、そのような死者が出なかったので良かったが、逮捕者が16名も出てしまった為、その運転手を釈放しろと、再度翌日水曜日にタクシー運転手らの一部がストライキをしていた為に、タクシーの台数が減っていたと。逮捕された人達への保釈金はタクシー会社が出さない為、彼らが出てくるのは未だ先の話。
火曜朝に、未だストライキが行われていない時間帯やルートで出勤をしたものの、職場から帰れなくなった大勢の人達が長蛇の列でバスを待っていたり、列車 (あまり列車網が発達していない) の最寄駅から延々5~6時間も歩いて家に帰らざるを得ない人達などが居たのだとか。
そもそも、南アは公共交通機関が全く整っていないことに端を発している。その為、乗り合いタクシーは、1日に約1500万人の人達の通勤の足となり、それは南アの労働力の約6割から7割を運んでいることになる。

乗り場

ダーバンシティ中心部も
タクシーだらけ。
2012年の資料では、一般車の1万人に対し9人の事故死亡者という数字に対し、乗り合いタクシーは3倍の1万人に27人の死亡者を出している。(それは、乗り合いタクシー1台に対し大勢が乗っているということもあるかと思うが。。。) そして、交通事故で亡くなった運転手の約59%は酒気帯びだったと。(South African Institute of Race Relations のリサーチによる)
2006年から、列車網をより発達させようとは計画されているものの、莫大な費用がかかる為、実現は程遠い。

因みに昨年6月11日にも同様のストライキを行ってやはり暴動となり、ストの行進をしていたダーバン中心部の通りに面した商店などが襲撃され、警察が催涙ガスなどを使って鎮圧。
毎年恒例の騒ぎのよう。
昨年6月のテレビ報道
タクシー運転手のほとんどが、銃 (合法・違法を問わず) を持っており、運転中も飲酒やドラッグをやっている血気盛んな人達。
ストライキにしても、交通事故にしても、被害をこうむるのは、車を買えるほど裕福ではない、他に交通手段を選べない、一般的な黒人の人達という構図が変わることはあるのかどうか。。。
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