南アのダーバン界隈では、真夏を迎える前の10月~11月頃に雨が多い。
我々がやって来た2013年の10月~12月は非常に雨の日が多く、毎日どんよりした気分になったものなのだが、その雨のお蔭で2014年は水不足と言う言葉は聞かなかった。
しかし、2014年末は降雨量が少なく、昨年2015年は水不足と言われだした。そして2015年末。ほとんど降らない日が多く、内陸地方では渇水により飲料水も事欠き、そして牧畜の家畜に与える水が底をつき、その家畜の飼料となる草も枯れ果て、多くの酪農家達が政府に助けを求めていても、雀の涙程度の見舞金しか出ないありさま。家畜のみならず、自然公園などの野生の動物達も数多く死んでいる。
ラニーニャ現象の影響だそうで、南アどころか、マダガスカルやエチオピアなどでも、大干ばつが大飢饉を招くと悲鳴を挙げている昨今。
イメージ 1
先々週、我が家より北の少しローカルなエリアを走っていると、住人達が大きなバケツを持って歩いていて、見ると給水車から水をもらっていた。

イメージ 2
雨水を雨どいから集めて貯めるシステムも普通にある。このタンクはJOJOタンクと言う。

イメージ 3
そんな中、今週月曜日3月7日にいきなり断水すると、役所が作った3月4日付の17ページにも及ぶ、管轄下を細分化してエリアごとに断水の時間を表した資料が出回り、翌日8日火曜には役所から発表があると情報が流れた。

あまりに断水エリア区分が細かく分かれているので、自分の家は何処に属するのかわからないぐらいだったのだが、週に2日それぞれ9時間もの間に渡って断水するとのこと。だがいつからかとは明記されておらず、計画停電のみならず、計画断水 Water Shedding がいよいよ始まったのかと、日本人の間でも大慌て。
バスタブに水をはったり、スーパーに水を買いに行ったり。
そう言えば、一昨年に、送水管を渡している吊り橋のワイヤーを金属泥棒が切ってワイヤーを盗んだが為に、送水管が壊れて、送水先の我々のエリアが断水になると言う事件があった。(その様子は こちら
復旧までの時間も当初はわからず、慌ててスーパーに水を買いに行ったが、我々日本人と中国人カップルの2組のみが水を買っていただけで、今回もやはり南ア人はのんびりしているのかなぁと思っていたのだが、案の定誰も買い貯めはしていなかった。


イメージ 4
3月7日付 Northglen News 第一報
右上の17ページにも及ぶ断水計画表について、役所は未だオフィシャルなものではなく、翌日8日に開かれる会議の資料とのこと。

イメージ 5
3月7日付 Northglen News 続報
モールや工業エリアと同じ送水元の住宅は断水が起こらないなどの不公平もあり、断水と送水を繰り返すと、水圧がよりかかって送水管を破壊してしまう可能性があるとも。

イメージ 6
3月8日付 THE MERCURY 誌
現在、 Midmar ダムは貯水率が46%、Albert Falls ダムに至っては36%しかなく、次の夏(つまり今年の年末)までダムはいっぱいになる可能性はない。
それぞれのダムが貯水率70%になるまでには、週2回それぞれ9時間の断水を数カ月続けなければならない。
我々の行政区である eThekwini では、現在毎日6憶600万リットルが消費されているが、その15%に当たる9100万リットルを毎日節約しなければならない。
他には、水量を下げる器具を装着し、使いすぎると一軒当たり500ランド(約3750円)の罰金、工業地帯では1万ランド(約75万円)の罰金を課すと言う案も挙がっていると。

イメージ 7
3月8日付 Daily News 誌
断水はなし、と。
本来なら8日に市長を含めた行政関係者が、水不足に対する対応を協議して記者会見をするはずだったのだが、協議の場で示されるはずの資料が、何故か前日に無断でリークされてしまったとのこと。
水量を下げる器具は、水圧を下げるのではなく、2分でバケツが一杯になるのを5分かかるようにする。水圧を変えるのではない為、上流と下流での使用者への不公平はないのだそう。

イメージ 8
3月8日付 The Witness 誌
断水しか方法はなく、早くて来週から断水が始まるだろうと。皆が自発的節水を心掛けずに暑い日がこのままずっと続けば、15%の節水では足らず、近い将来25%の節水を余儀なくされる。何もせずにこのまま雨もなければ年末にはダムの水は全て無くなる。断水は経済にも非常に大きく影響する。
我々の行政地区とは異なり、使用するダムも異なるバリートでは、昨年から水不足をうったえ、罰金システムや水のリサイクルなどを行い、住民の意識改革がなされた為に節水は成功しているので、我々の行政地区も意識改革をしなければならないと。バリートの昨年末の様子は こちら

上記3誌は、いずれも同じ3月8日付だが、断水の有無へのスタンスが異なり、8日の朝の段階では、何を信じて良いのかわらかず。。。

イメージ 9
3月8日
行政の会議以降にアップデートされたNorthglen News

地区ごとの断水の表がリークされたが、結局ダーバン市長は断水を行わないことを表明。市は、 water restricting washers なる機械を送水元に取り付けて、水量と水圧を50%削減すると。ただし、その制限する機械をどのエリアを対象に、いつから取り付けるかは未だ決まっていない。リークした資料については、誰が漏らしたのか調べる。

しかしながら、この断水・節水問題は日照りだけが要因ではない。
水の40%は、違法に摂水されていたり、壊れた水道管から漏れ出ていたりと、日々失われている。タウンシップ (アパルトヘイト時代の黒人居住区で現在も黒人が住んでいる) のイナンダ地区だけでも、違法に約3万カ所もの摂水場所があり、ダーバン市だけで毎年6憶ランド (約45億円) の水道による収入が得られていないのだとか。ちゃんと水道料金を支払っている我々に、水量や水圧を減らしたり罰金を課すよりも以前に、違法に水を盗って無料で使っている人達に課金したり取り締まったり、壊れた水道管を直す方が先決だと言う意見が多々。