南アの教育制度は、小学校が7学年、高校が5学年で、日本の中学校に当たる学校はない。学齢期は日本と同じ7歳からで、義務教育は高校2年生までの計9年間で日本と同じ。
公立学校と私立学校とがあるが、公立学校の授業料はその学校のある地域によって異なり、学費が無料の学校もあれば有料の学校も。私立高校の授業料は公立高校の何倍もするのだが、私立学校の中でも政府が出資している学校もあり、その場合は比較的授業料が安くなる。公立・私立とも、ほとんどの小学校と高校は制服があり、それは自費で賄わなければならない。

驚いたのはその制服。成績によってブレザーが異なる。
ダーバンに駐在する日本人子女のその殆どが通っている私立学校の制服は、このようにさまざま。

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普通のブレザーはこんな感じ。

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成績の良いたった一人が着られるホワイトブレザー

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ホワイトブレザーは着られなくても、成績の良い生徒は、襟や袖口に縁模様を入れることが出来、勉強のみならず運動などさまざまなアクティビティで優秀な成績を修めると、エンブレムの下あるワッペンのような物を付けることが出来る。まるで兵隊さんの勲章のよう。勿論勝手につけることは出来ないので、学校から証明書のような物をもらい、それを専門の制服屋さんに持って行き、有料でつけてもらうなどする。一目瞭然なこの差別化には驚いたが、南アでは、この私立校のみならず、他の私立や、全てではないが公立でも服装による差別化を行っているのだそう。

学校は1月から新しい学年になるのだが、大学入試という物はなく、全国一律で卒業試験のマトリック (Matric) が10月頃?~11月に行われる。
長いマトリックの試験期間が終わると、高校全体での卒業式などは全くないので、不思議なのだが、ほとんどの学校で試験よりも先に、アメリカなどで言うところの所謂プロムに相当するマトリックダンスパーティが行われる。男女ペアになってのダンスパーティーには、それはそれは男女ともに着飾るのだが、ペアの相手は同じ学校のクラスメイトでなくても良いので、見つからない人は親が相手を探して来たりもする。
5つ星ホテルのオイスターボックスホテルで行われたマトリックダンスパーティでは、相当お金持ちの子女が集まる学校なのだろうが、ロールスロイスやストレッチリムジンなどでやって来ていた。その様子はこちら

そして、マトリックの試験が終了すると、ビーチなどに1週間ほど繰り出し、南アでは飲酒も可能な年齢なので、大騒ぎをするのが12月初旬。ヨハネスブルグやケープタウンの生徒達もアムシュランガまでやって来るので、その一週間はいきなり若者だらけになるのだが、旅行会社がこの日の夜はこのクラブ、次の日はこのクラブ、と言ったようにツアーを組んで送迎までしてくれたりもするらしい。その若者達の様子は こちらこちら

マトリックテストには2種類あり、私立学校が採用しているより難度の高い物と、公立学校などが採用しているやや難度の落ちる物とがある。58科目の中から7科目を選んで受験するのだが、勿論それ以上の科目を受験しても良い。その卒業試験の結果で卒業の可否や進学できる大学が決まる。
いずれの学校も、12月は採点で学校の先生達はホテルなどに缶詰めになって大忙しになるのだが、マトリックテストの採点者に選ばれると、先生自身の履歴書にもそれを書くことが出来てステータスとなる。

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結果発表は1月早々に行われ、ネットでも確認できるが、新聞にマトリックの合格者全員の名前がアルファベット順に掲載され、それぞれの生徒がどの教科でスコアがAだったかまで載る。
まるで日本での東大合格者名が乗る雑誌のようだが、ここまで詳しくはないかな。

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その新聞の各ページには、優秀な学校の宣伝も色々と出ていて、その学校でのマトリックで8教科以上がAだった人の顔写真と名前、5~7教科がAだった生徒の名前が載っていた。

因みに、この学校では、マトリックは該当学年の生徒全員が必須で受験し、かつ合格者100%をうたっている。つまり、受験する学年よりも2年ぐらい前から、この生徒は受かりそうにないと学校が判断すると、肩たたきが始まって転向していったり、留年して翌年に備えたりするのだそう。

私が伝え聞くだけでも、このような競争社会。日本では、運動会の徒競走で順位をつけないとも聞く。そして2020年1月を最後にセンター試験が廃止され、新たな 「大学入学共通テスト」 になるとか。
「手つなぎゴール」 などがある運動会の日本の教育と、差別化しまくる南アの教育、果たしてどちらが良い教育なのだろう???