アパレルショップの HYSTERIC GLAMOUR 表参道店 HYSTERICS の地下にあるギャラリー。
このブランドのデザイナーである北村信彦氏が発案したラットホールギャラリー(RAT HOLE GALLERY)でグレン・ライゴン氏の展覧会があるので行ってみた。
日本では「提灯壺」とも呼ばれる月壺は、李朝時代 (1392-1910年) の韓国でつくられた伝統的な白磁で、その名は満月を思わせる形状と乳白色の釉薬に由来する。日本在住の韓国人陶芸家との協働のもと、白色の粘土を漆黒へと変え、ライゴン氏は黒い月壺をこの展覧会の為に制作した。
2つの半球を中央部で接合してつくられた壺だそうで、良く見るとひとつひとつが異なる。表面がすべすべしていたり、ざらざらしていて剥がれている部分もあったり、いびつだったり。



ガートルード・スタインの1909年の小説「三人の女 (Three Lives) 」から引用されたフレーズ「negro sunshine」が、オイルスティックを用いて繰り返し描き込まれている作品。
「Self Portrait」(2002年)は、ジェイムズ・ボールドウィンのエッセイ「村のよそ者 (Stranger in the
Village) 」から引用したフレーズを、黒のオイルスティックでステンシルを用いて塗り重ねられている。カンヴァス上の文字は重ね塗りされることで厚みを増し、滲みが生じ判読しづらい。この作品は、いったんは失敗作として作家がカンヴァスを擦り落とし始めたものの、再び制作されたもの。
※ 2020年8月追記 残念ながら、7月末で閉館。14年の歴史に幕を下ろすことになった。
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