南青山にある岡本太郎の住居兼アトリエだった所が、岡本太郎記念館となっているので、行ってみた。漫画家で作詞家でもあった父の岡本一平から相続した建物。1953年(昭和28年)から84歳で亡くなった1996(平成8年)まで暮らし、創作活動を行っていた場所。もともと、両親と共に暮らしていた青山高樹町3番地の家は空襲により焼失。敗戦後に再建されたこの建物は、国立西洋美術館などをデザインしたル・コルビュジェの弟子で友人でもあった坂倉準三が設計。大阪万博の太陽の塔もここで構想が練られた。
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まずは一階の常設展。
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「こどもの樹」1985 青山にあったこどもの城の為に制作した。人種・文化・国籍を超えた世界中の子供達を象徴している。
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「縄文人」1982 岩手県藤沢町の小鯛縄文式野焼きの原型を復元した「縄文の炎・藤沢野焼祭」のシンボルとして寄贈。
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企画展の「日本の原影」
上野の東京国立博物館で縄文土器を目にし、日本のわびさび型の伝統美とは真逆な美意識を見出し、1957年に東北で「呪術の心」が息づく原日本に触れ、1959年には返還前の沖縄で清冽に生きる人々に自分自身の根源を見いだし、「ほんとうの日本」を発見した。岡本太郎自身が撮った写真展なのだが、非常に面白い。
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縄文および東北のエリア
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彼の作品かと見まごう縄文時代の作品。
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おしら様の様子なども撮っている。
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おしら様(おしらさま、お白様、オシラ様、オシラサマとも)は、日本の東北地方で信仰されている家の神であり、一般には蚕の神、農業の神、馬の神とされる。茨城県などでも伝承されるが、特に青森県・岩手県で濃厚にのこり、宮城県北部にも密に分布する。「オシンメ様」「オシンメイ様」(福島県)、「オコナイ様」(山形県)などの異称があり、他にオシラガミ、オシラホトケ、カノキジンジョウ(桑の木人形)とも称される。
沖縄のエリア
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彼がイザイホーまで見ていたとはビックリ。イザイホーは、沖縄は久高島で行われる秘祭。久高島に行った時の様子は こちら。 12年に一度、島の30歳から41歳までの女性がナンチュという地位になるための儀礼として行われる。それにより一人前の女性として認められ、家族を加護する神的な力を得るとされる。ただしイザイホーは、後継者の不足のために1978年に行われた後は行われていない。それまでは秘祭だったものの、実質最後になるだろうと言われた1978年は広く公開。しかし、その前の1966年に岡本太郎氏が行っていたとは。
クボー御嶽(うたき)
クボー御嶽(うたき)

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返還前の頃の沖縄の様子が良くわかる。
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闘牛をやっていたり、イルカ漁もしていたとは知らなかった。
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岡本太郎氏曰く:
日本という抽象的な概念、固まった意識から抜け出し、かつて祖先が全身に受けとめていた太陽の輝きと、南から北からの風の匂い、その充実した気配を血の中にとりもどさなければならない。私は沖縄の人に言いたい。復帰が実現した今こそ、沖縄はあくまでも沖縄であるべきだ。沖縄の独自性を貫く覚悟をすべきだ。決して、いわゆる「本土なみ」などになってはならない、ということを。

庭にも多数の作品が所狭しと配置されている。ベランダから見下ろしている太陽の塔も!
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「若い太陽」1980年代後半 「芸術は太陽のようなものだ」と語っていた。彼の姿とのこと。
あ
「母の塔」1971 高さ150メートルでアルジェリアに計画されていたモニュメントの原型。現在、川崎市岡本太郎美術館には、シンボルとして高さ30メートルの物がある。
い
「歓喜」1965 お寺の梵鐘を依頼され、「鳴ろうと鳴るまいと私のイマジネーションのままに勝手な形をつくってしまおう」として制作。叩く場所で音色が異なる。
う
奥は「乙女」1988 野沢温泉村で毎年のようにスキーをしていたことから、村庁舎前に造った作品。
手前は「犬の植木鉢」1955 庭に猛獣などをうろうろさせたかったが、作ってみるとかわいくなってしようがないとのこと。
え
「樹人」1968 パリの「フォーブル・サントノーレ芸術祭」で「祭りの王」に選ばれた。手前の小さな方は「動物」1959 初めて手掛けた本格的な彫刻作品。
お
「午後の日」1967 自画像ともいえる。この作品のバリエーションが岡本太郎氏の墓石に選ばれた。
か

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奥にある白く背が高いものは「めばえ」1991 高さ120メートルの規模で大型レジャー施設に計画されたモニュメントの原型だが、施設は結局実現せず巨大モニュメントは頓挫。
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色々見たが、やっぱり私は昨年末に太陽の塔内部なども含めてじっくり見たので(その様子は こちら)このバルコニーから見下ろしている無表情な太陽の塔の手の可愛いしぐさがツボかな。
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