パリオペラ座バレエ団が、3年ぶりに引っ越し公演を行っている。2月26日の安倍首相のイベント等の自粛についての会見以降、ことごとく色々な催しが休止や延期になっている中、色々な諸注意を払うことで、初日の27日から予定通り興行をしている。(画像は2枚を除きHPより拝借)


台本:テオフィル・ゴーティエ、ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ
音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラーリ/ジュール・ぺロー (1841)
振付:ジャン・コラーリ/ジュール・ぺロー (1841)
改定振付:マリウス・プティパ (1887)、パトリス・バール、ユージン・ポリャコフ(1991)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ベンジャミン・シュワルツ
ジゼル Giselle : ドロテ・ジルベール(エトワール)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ベンジャミン・シュワルツ
ジゼル Giselle : ドロテ・ジルベール(エトワール)
ジゼル全幕を見るのはこれが7回目。
学生の頃に、すっかり失念してしまったがミラノスカラ座か何処かが来日した時の公演が最初で、いずれも前になるが、NYのABT(American Ballet Theater)では、4日連続で見たりもした。その時は毎日配役が変わるので比較が出来て面白かった。その4日のペアは:ニーナ・アナニアシヴィリとアンヘル・コレーラは こちら、ジュリー・ケントとイーサン・スティフィルは こちら、パロマ・ヘレーラとマルチェロ・ゴメスは こちら、シオラマ・レイズとヘルマン・コルネホは こちら
そして未だ熊川哲也氏が踊っておられた時の K-Ballet Company の様子は こちら
一幕目
花占いをして、花びらを取って好きは膝の上、嫌いは足元に捨てると言うしぐさ。ABTでは、好きでも足元に捨てる人や、膝の上に置く人やら色々だった。ドロテ・ジルベールは、初々しさも表現していたが、アルブレヒトをとても慕っていると言う表情も。
アルブレヒトの素性がヒラリオンによって暴かれてから、最初にジゼルがアルブレヒトにハグれた時に、ゆっくりゆっくり、えええっと言う時の観客席側に向ける顔の形相と言うか、目力が凄い迫力だった。その後は、怒りはあまり見せず、驚きや無表情や狂っての笑いとして表現。ジゼルの最期は、病いで消え入ると言う感じではなく、急にアルブレヒトの腕の中でガクっと亡くなる。
二幕目
オニール八菜さんの女王ミルタが、これぞクールビューティーと言った感じで非常に美しかった。
やはり、群舞。どうしても、東京文化会館の床のせいか、皆で右・左と動く時のドシンドシンと音がしてしまうが、最初に同じく東京文化会館で見た時に比べ、その音が気になってしまうようなことはなく、群舞を楽しませてもらった。




アルブレヒト役のマチュー・ガニオのソロでは、一度ジャンプが回りきらずに着地が正面に向かない時があったが、彼の王子ぶりは文字通り「王道」。女性が助走したりジャンプしたりする助けがないその場からのリフトでもとても綺麗で、かつ着地もソフト。
ガンガン跳んだり廻ったりが大好きな ABT とは異なる、魅せるバレエ。パリオペラ座バレエ団が、19世紀に「ジゼル」を初演しただけはある十八番だなぁと。
カーテンコールは5回もあり、最後は「ブラボー」や「ブラバー」「ブラビー」だけでなく歓声があがっていた。コロナウイルス問題で、公演が行われるかどうか危ぶまれた中での素晴らしい演技なだけに、観客の気持ちが伝わってのカーテンコールだね、と後ろの女性達が言っていたのには納得。
お金は非常にかかるが、音源がテープではなく、オーケストラと言うのもやはり良い。ホルンが王家登場のフレーズの時に少しはずしてはいたが。。。
一幕目の直前に、定年で芸術監督になったオーレリー・デュポンが客席に入って来て見ていた。
パリオペラ座バレエ団の職員は基本的に公務員で、他の公務員と異なり55歳以前から年金受給が可能で、ダンサーに限れば42歳で退職することが可能な特例年金制度となっている。この制度は、1698年にルイ14世が導入したものでフランス最古の年金制度の一つ。ところが、昨年フランス政府が、年金の優遇制度を事実上廃止する姿勢を示したことから、オペラ座の職員もストライキに参加。昨年は創立350周年と言う歴史的な年だったのだが、バレエとオペラ併せて63公演が中止され、その損害たるや1200万ユーロ(約14億円)にのぼったとか。昨年のストライキの時には、今まで参加しなかったダンサー達も参加したので、日本でも大きく報道されていたのが記憶に新しい。
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