バンクシー展の <1> からの続き。


●HMV(ヒズ・マスターズ・ボイス) もともとヴィクター社のこの有名なロゴマークは、イギリス人美術家のフランシス・バロードの作品で、ニッパーと言う彼のジャック・ラッセル・テリア犬を描いたもの。


因みに、この作品が描かれた場所はカーゴ・バー近くのリビントン・ストリートにある「グラフィティ・エリア」と言われ、市政当局に塗りつぶされるだけでなく、競合するグラフィティ・ライターの嫉妬から塗りつぶされたりもすれば、切り取られて高額で売買されたり、自然に朽ちていくものも。今日このバンクシーの作品は他のストリート作品とは違い、ガラスで保護されている。
●「スープ・カンズ」2003年 テート・モダン(ロンドンにある国立近現代美術館)に、老人の格好をしてこの作品を無許可で飾って行ったもので、イギリスの自然史博物、ルーブル美術館などにも侵入して作品を勝手に陳列したことも。ブランド思考や、アートへの問題定義が目的とのこと。缶を良くみると、TESCO社のトマトスープと書いてある。バンクシーの故郷であるブリストルで量販店のテスコ進出反対の運動を受けて。


●「ベリー・リトル・ヘルプス」薬局の壁にあったもので、版画はこの反転。薬局の壁画では子供のひとりは独占小売り企業のテスコのビニール袋をかかげており、版画ではイギリスの国旗のパンツとなっている。
●「クイーン・ヴィク」2000年の初期作品。1837~1901年まで在位のヴィクトリア女王がレズビアンに。治世中に「女性がゲイになるなどあり得ない」と公言したとされ、ゲイに反対する法律を通した。それにしてもなかなか今でもショッキングな作品。イギリスは自由だなと。
●「ボム・ミドル・イングランド」初期作品。アクリル絵の具とスプレーで描かれた。2007年サザビーズで102000ポンドで落札。
●「ストップ・アンド・サーチ」権力行使には、自由と公共の安全との境界線はどこにあるのかと。2007年500枚のスクリーンプリントに青のクレヨンでサインしている。オズの魔法使いのドロシーと、誠実と信仰のシンボルの犬であるトトが描かれている。


●「ブレグジット」2017年ドーバーの壁に描かれた。2019年作品は白く塗りつぶされてしまったが、バンクシーは懲りずにこのような画像をインスタグラムにアップ(笑)
●「ボム・ミドル・イングランド」初期作品。アクリル絵の具とスプレーで描かれた。2007年サザビーズで102000ポンドで落札。


●「スマイリー・コッパー / フライングコッパー」警察の暴行について。「誰も信じてはならない。権力と権威を振りかざすものは疑ってかかれ、いつ攻撃の為の銃が使われるかわからないのだから」と。
●「スノーティング・コッパー」警官がコカインを吸い込んでいるこの絵は、2007年にトイレの壁に描かれて塗りつぶされたが、2人の実業家によって建物ごと買い取られて壁から切り取られ、16週間かけて修復され、2017年に元の場所に戻って来た。今はガラスに守られて公開されている。
●「ポリス・キッズ」2005年 防弾チョッキを着ている子供達。


●「コップ・カー」2003年のスケッチ。バンクシーは、この作品がどうやってコレクターの手に入ったかわからないと。
●「ワン・ネイション・アンダー・CCTV・フォトグラフ」2008年。CCTV監視カメラについて。イギリスでは、一人一日当たり平均300回監視カメラに映っており、2007年当時で420万台の監視カメラが設置されており、世界中の監視カメラの約20%に相当。もうこの作品は塗りつぶされ、現在は別のビルが建てられてしまっている。
●「ファミリー・ターゲット」2003年 子供に照準が当たっている。家庭を築いて子供を持つことが一番とすることへの疑問、バンクシーは病気以外のなにものでもない、世界の不正や悪事が子供達に影響を与える、、、などさまざまな解釈や解説がされているとのこと。段ボールに描かれているとはビックリだった。


●「ゴルフ・セール」初期作品。1989年の天安門事件がテーマ。ゴルフ・セールは戦車を止めることが出来るのか? ゴルフボールで戦車を止められるのか? など解釈もさまざま。
●「ハブ・ア・ナイス・デイ!」初期のプリントシリーズ。最初の画像は公式解説の izi travel から拝借したもので、次の画像は私が現地で撮ったもの。izi travel の方は、戦車の左側の右から6人目だけ黄色いスマイリーではないように見える。マスクでもしているのか???(笑)


●「ラブ・イズ・イン・ジ・エアー Love is in the Air (Florwer Thrower)」最も有名な作品のひとつ。
2003年、バンクシーが初めてパレスチナに旅行した時に、ベツレヘムのアッシュ・サロン・ストリート沿いの建物の壁に描いたもの。描き終えてから知ったそうだが、狙撃される危険があった。2017年の調査では、過半数の人がこの絵だけを見てバンクシーの絵とわかったとのこと。
2003年、バンクシーが初めてパレスチナに旅行した時に、ベツレヘムのアッシュ・サロン・ストリート沿いの建物の壁に描いたもの。描き終えてから知ったそうだが、狙撃される危険があった。2017年の調査では、過半数の人がこの絵だけを見てバンクシーの絵とわかったとのこと。
続きは <3> で。
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