スパイラルで、「OKETA COLLECTION : A NEW DECADE」展をやっていたので行ってみた。
ファッションビジネスに携わってこられた桶田俊二・聖子夫妻が2000年代より始めたコレクション。2010年に草間彌生の作品との出会いをきっかけに、コンテンポラリーアートの本格的なコレクションへと大きく踏み出し、2016年から毎年、限定公開にてコレクション展を開催。現代アートと合わせて骨董や盆栽も展示し、2019年4月の初めての一般公開となる「OKETA COLLECTION: LOVE@FIRST SIGHT」展では、12日間で約1万2000人の来場者を集めたとのこと。今回はその2回目となる。(絵の解説は ArtSticker からの抜粋)

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ゲルハルト・リヒター「Abstrcat Painting (940-3)」2015 
1932年旧東ドイツ生まれ。ベルリンの壁建設の半年前に西側のデュッセルドルフに移住。写真のイメージを精密に描き写しぼかした「フォト・ペインティング」シリーズで注目され、「カラーチャート」「グレイ・ペインティング」など新しい絵画表現を生み出す。絵具を塗ったスキージ(板)を画面上で滑らせ、鮮烈な色の洪水を押し留めたような「アブストラクト・ペインティング」がリヒターの代表的なシリーズ。

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草間彌生「Infinity Nets TMPQ」2012 
1929年長野県生まれ。1950年代に単身アメリカにわたり、NYで活躍、アンディ・ウォーホルなどポップアートの作家達にも影響を与えたと言われる。水玉の作品で知られているが、網目(ネット)の絵画も一貫して描いており、水玉と網目はポジとネガの関係にある。NYで最初に認められた作品も、白のネット・ペインティングだった。

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シュテファン・バルケンホール「Mann auf Stufe (Man on a Step)」2019 
1957年ドイツ生まれ。フランスおよびドイツを拠点とする。80年代にキャリアをスタートさせ、1本の木材からノミで人物を彫り出す手法。台座となる部分をあえて多く残すのも特徴。同じモチーフで大きなブロンズ像の作品もある。無表情で「ミスター・エヴリマン」と呼ばれるように、どこにでもいる誰かの日常の一コマを彫刻にしている。

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村上隆「Mr. DOB Comes to Play His Flute」2013 
1962年東京生まれ。90年代にオリジナルキャラクターの「DOB君」を生み出し、アニメと美術、サブカルチャーとハイカルチャーを融合させた作品で注目される。「スーパーフラット」というキーワードで、絵巻物、浮世絵と言った日本の美術の系譜にマンガやアニメやゆるキャラなどを接続し、日本独自のアートを西洋の文脈でも解読可能にした展覧会を企画。そのほか、映画監督・政策、ギャラリーの運営、若い作家の育成などの活動をする。緻密に計算された画面構成、色彩、フラットな仕上げは、東京芸術大学日本画科で学んだ技術と、アニメへのリスペクトに裏付けされたもの。最近は、カニエ・ウエストやビリー・アイリッシュなどのミュージシャンとのコラボも。

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奈良美智「Collage of Previously Unreleased Drawing II」2013 
1959年青森県弘前市生まれで、拠点は栃木県。強く勢いのあるドローイングや繊細な鉛筆画も奈良の真骨頂。

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スターリング・ルビー 「Basin Theology/DiPT」2014

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スターリング・ルビー「VERT.PROUN」2018 
1972年ドイツ生まれで、拠点はロサンジェルス。米軍基地に生まれ、ペンシルバニアで育つ。そこで出会ったアーミッシュのキルトや陶芸に影響を受ける。制作を通して自分史や美術史、そして社会に根強くある暴力や圧力と言った問題に取り組む。流動性と停滞、表現主義とミニマリズムと言った相反するものの間での緊張感をテーマとしながら、絵画、ドローイング、コラージュ、彫刻、陶芸、映像と多様な素材で制作。あえて不調和な色の組み合わせ、画面を分断する黒い枠、コラージュされた帯状の布バンドなど、表現はルビーならでは。「Basin Theology」シリーズではたらい状の器を遺跡発掘現場に見立て、壊れた陶芸作品のかけらなどを入れて再び釉薬をかけ、焼いて完成させるという手法で作っている。2008年からファッションデザイナーのラフ・シモンズとコラボを始め、2019年には自身のブランドを立ち上げた。

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名和晃平「PixCell-Deer #48」2017 
1975年大阪府生まれで、拠点は京都。Pixel(画素)と Cell(細胞・器)を融合させた「PixCell = ピクセル」の概念を基軸に作品を制作。素材はビーズ、シリコンオイル、発砲ポリウレタンなど様々な素材が持つ特性と最先端の技術をかけ合わせた彫刻やインスタレーションを作る。鹿の剥製などをガラスビーズで覆った「PixCell」シリーズは、名和の代表作。覆う素材はすべてインターネットで入手し、情報と物質、「ものの表皮」とリアルなモノの関係を探るテーマも含まれている。

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サーニャ・カンタロフスキー「Good Host II」2019 
1982年モスクワ生まれで、拠点はNY。浮世絵に興味を持ち、一昨年には、日光に1カ月半滞在しドローイングを制作。伝統的な浮世絵の技術を継承するアダチ版画研究所の協力を得て木版画を制作。人物を大きく描き、黒を効果的に配色する構図は、浮世絵を彷彿とさせる。絵画は、ドラマの一場面のように感じられるが、特定の登場人物や物語を描いているわけではない。

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ヴィルヘルム・サスナル「Untitled」2019

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オスカー・ムリーリョ「VS (224,700ft) night into day」2015-2016
1986年南米コロンビア生まれで、拠点はロンドン。
グラフィティ的な要素のあるペインティングスタイルから、21世紀のバスキアとも呼ばれるが、制作手法は多様。既成の布地に染色や加工を施し、パッチワークのように縫い合わせてからペイントなどをコラージュする作品など。2019年に、イギリスの50歳以下で最も活躍が認められた作家に授与されるターナー・プライズを受賞。

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タラ・マダニ「Shit Mom」2019

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ダニエル・リヒター「I HAD A NICE DOG ONCE」2019

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ウーゴ・ロンディノーネ「blue pink mountain」2019
1964年スイス生まれで、拠点はNY。
90年代に鮮やかな色彩の的のような形のペインティングや、白黒で木を描いた風景画、大きな虹のサインといった作品で頭角を現す。木や岩など自然の事物をモチーフにしながら、事前の中にはありえない光景を創り出す。

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五木田 智央「Come Play with Me」2018

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松山 智一「Sing It Again Sweet Sunshine」2019

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ハビア・カジェハ「No Words Today」2019

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ピーター・ソール「Van Gogh Cuts Off His Ear」2019

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マシュー・デイ・ジャクソン「Solipsist VII」2018

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フューチュラ「FL-001」2019

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ロッカクアヤコ 「Untitled」2019

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ルビー・ネリ「Woman in Leadership Position」2019

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色々な作品を短期間に集められたことに驚かされ、かつこれらが第二回の展覧会ということにも驚かされた。しかも入場は無料。