「SICF20」の受賞者10名による展覧会「SICF20 Winners Exhibition」を観に行った。
スパイラルで行われるゴールデンウィーク恒例の若手作家の発掘・育成・支援を目的としたアートフェスティバル「SICF21(第21 回スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)」を今年はシルバーウィークに行うに当たって、同時に昨年の受賞者達の作品を展示している。
グランプリ タナカマコト「流るるる」
とても綺麗。良く良くみると、トイレットペーパーを使って切り絵にしている!!! 相当しっかり堅い紙質でないと大変そうだが・・・
準グランプリ 京森康平「HITONO AWARE」 ギリシャ彫刻のヴィーナスやパラアスリートなど、多様性を示し、画一化されていた美の価値観を問いかけている。
準グランプリ 奥直子「セラミックアミューズメント」 色々な生き物を焼もので表現。
「限りなく深いグレー」
「chemistry」
アストリッド・クライン賞 花山ちひろ「海洋分解微生物」
菌や微生物が人間に影響する現象や存在している必要性や重要性を感じてもらうため、「自然界に存在する価値」と言うテーマを、身につけるアイテムのアートジュエリーとして表現している。
倉本美津留賞 鈴木知佳「地表の風景」
生活の中の何かだったプラスチック、ガラス、貝、金属、石、陶などが、都市や海岸に漂流ゴミが混ざり合い風化した鉱物のように、現代の化石となっている。人類の営みが地質学的に地球に影響を及ぼし始めた地層へ堆積していく、地表の風景 / 私達の痕跡。
菅野薫賞 日辻(ひつじ)「活線」
電気が通っている電線を意味する「活線」。電子部品を使って作る上で、電気の通った回路として機能する立体作品であり、活きると言う漢字の意味とモチーフになっている花を「いける」行為を重ねて名付けたとのこと。
「添水(そうず)」弛張発振回路と呼ばれる回路をいけているそうで、コンデンサに電荷が一定量蓄えられると、トランジスタによって一気に放出され LED に電流が流れ込んで点灯するしくみ、、、なのだそう。
「拈華(ねんげ)」 圧力センサを LED と結線して優しくつまむとふわっと光が灯る回路をいけた。禅宗に、花をつまむ所作で思いが伝えられる「拈華微笑」と言う故事があり、禅の教えにおける礎となる考え方が、この作品の構造に合っていたのでネーミングされたとのこと。
MINA-TO 賞 斉藤萌々子「WOODEN PLANTS」
植物(木)で植物を表現することへの興味から始まった作品とのこと。
ワコールスタディホール京都奨励賞 眞鍋美祈「孤独が溶ける」
画像ではわかりにくいのだが、波打ったアクリル板の上を水が流れていて、そこに開いた穴から下に落ち、落ちた場所からチューブでアクリル板の上へと水が循環している。そこに「孤独」と書かれた紙を置くと、あっという間に水が紙を溶かして水になり、溶けた孤独の水が循環してくると言うインスタレーション。孤独と孤独があわさると溶けるが、集まりすぎると汚くなり、孤独を実際に「溶かす」体験を通して、内面にある孤独を見つめる、と言うもの。
スパイラル奨励賞 村尾拓美「Nation of love」 鳥の求愛行動を人が真似をする為の服と言うテーマ。
オーディエンス賞 本多大和「kotonoha コトノハ」
手前の穴に向かって言葉を吹き込むと、声から形になった「言葉」が画面で歩き始める体験型インスタレーション。ちょうど作者さんがおられ、お話して下さった。
「こんにちは」や「ありがとう」と言う言葉を穴に向かって言うと、足の付いたひと文字ひと文字が現れて行進していく。「ありがとう」の文字には花が咲いていたり、「今日の天気は」と言うと、その文字には羽が生えていたりと、ちゃんと認識しているのも面白い。会場に来ていた子供さんも大喜びで楽しんでいた。
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