サントリー美術館のリニューアルオープン記念展覧会の第一弾を見に行ったが(その様子は その1その2 )、その第三弾の「リニューアル・オープン記念展 Ⅲ 美を結ぶ。美をひらく。美の交流が生んだ 6つの物語」にも行ってみた。

左:藍色ちろり 一合 江戸時代18世紀、右:色絵花鳥文六角壺 一合 江戸時代17世紀 
柿右衛門様式の乳白色の白と鮮やかな赤の色彩は、当時のヨーロッパ貴族の憧れとなる。
IMG_0831

Story1: ヨーロッパも魅了された古伊万里

もともとポルトガルやオランダの商船が中国の磁器をヨーロッパに紹介して好まれたのだが、中国の政情不安から輸出が激減し、代わって古伊万里が17世紀後半以降に長崎からヨーロッパに輸出されるようになった。

「染付花卉文(かきもん)大皿」 有田 江戸時代17~18世紀 
オリジナルは中国製の「カラック磁器」。ポルトガル船(カラック船)で輸送されたことからそう呼ばれた。有田でも、海外輸出の為にコピーが多数作られた。
IMG_0833

「色絵花卉文輪花鉢」有田 江戸時代17世紀
IMG_0835

「染付人物文瓠形瓶(ひさごがたへい)」オランダ 17世紀 
オランダはデルフトの錫釉陶器で、中国製の青花磁器のコピーと考えられる。
IMG_0837

「染付人物文ケンディ」オランダ 17世紀 
ケンディとは、アジア南部で使われた水を飲む為の水注。中国製の青花磁器のコピーと考えられる。
IMG_0841

「色絵菊桔梗文瓶」有田 江戸時代17~18世紀 片側に菊、反対側に桔梗が描かれている。
IMG_0843

「色絵花鳥文八角大壺」 有田 江戸時代17~18世紀 重要文化財 
ヨーロッパの宮殿のインテリアとして作られたもの。ろくろで形成した後、外側から面を取ったもの。胴の四方に窓をもうけて小鳥が遊ぶ海の樹と、池に枝を伸ばす桃の樹を描いている。
IMG_0845

「色絵女人形」有田 江戸時代17世紀 
輸出向け製品と言われ、作者は「伊満利の柿右衛門」、人形のモデルは島原遊郭の遊女「吉野太夫」と。俳人の小西來山も同じ人形を持ってたのだとか。
IMG_0850

「色絵五艘船文独楽形大鉢」有田 江戸時代18世紀 重要文化財
日本国内向けの古伊万里。オランダ船には「宝船」のイメージが重ねられ、一種の吉祥文様としている。当時の人達が見たオランダ人の描写も可愛い😂
IMG_0854


Story2: 将軍家への献上で研ぎ澄まされた鍋島

鍋島焼は、三代将軍徳川家光の頃、佐賀藩から徳川将軍家への献上磁器として誕生し、200年以上にわたり続いた。種類が豊富な意匠が素晴らしく、白抜き文様の美も。中国から輸入した御須を使って青一色の美を生み出した。
「色絵組紐文皿」大川内・鍋島藩窯 江戸時代17~18世紀 
IMG_0858

「染付雲雷文大皿」大川内・鍋島藩窯 江戸時代17~18世紀 
墨弾きによる紗綾形文(さやがた)は、中央をぼかし、飛雲文をよけつつ、卍の形が上下左右に全て繋がりながら中心から皿の曲面に沿って描き詰められており、高い技術をほこっている。
IMG_0862

「青磁染付七壺文皿」 大川内・鍋島藩窯 江戸時代18世紀 
背景に、波を重ねた「青海波文」、飛雲文と一緒に壺の装飾になっている「紗綾形文」の2種類が用いられ、壺のモチーフからは能にまつわる吉祥文様となっている。
IMG_0867

「染付松樹文三脚大皿」大川内・鍋島藩窯 江戸時代17~18世紀 重要文化財 
幹や枝ぶりは単純化され、松葉の塊は輪郭がぼかされ立体感がある。松葉に墨弾き線を用いて一本一本の描き分けと立体感を出している。
IMG_0870

IMG_0871

Story3: 東アジア文化が溶け込んだ琉球の紅型
15~19世紀にかけて琉球王国では、中国・日本・東南アジア諸国との海上交易を行っていた。型紙を用いて模様を染め出す紅型は、周辺各国の染色技術の影響を受けつつ、首里王府の庇護のもと様々な技法が発展していった。王族や氏族に愛用された。

「流水に梅楓手綱模様染地型紙」19世紀 
IMG_0873

「水色地窓絵流水桜模様裂地」19世紀 
鶴、亀、梅、竹に流水などの吉祥模様が染め出された窓絵が、水の上に流れるように表されている。流水には桜や紅葉などの模様が描かれている。
IMG_0875 

「葡萄色地瑞雲に蝶桐散し模様裂地」 19世紀
2枚の型紙を使って重層的に模様を染め出す技法を朧(うぶる)型と呼ぶ。蝶・桐・梅・幾何学模様の型紙と、瑞雲の型紙の2種類を使っている。
IMG_0881

天井からは色々な模様が床に映し出されていて綺麗だった。
IMG_0884

階下のStory 4~6 は追って<2>で。


にほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログへ
にほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログ 東京都情報へ
にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
にほんブログ村 美術ブログ アートのある暮らしへ