「2021年宇宙の旅 モノリス _ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ」と言う展覧会へ。映画は見ていたが、それに関連付けての芸術は難しかった💦💦💦
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1968年に公開された『2001年宇宙の旅』は、人間とテクノロジーの関係、人類の進化をテーマにしたSF映画の金字塔である。物語は、猿人が謎の黒い石板「モノリス」に触れたことで道具を手にし、 「ヒト」へと進化。やがて宇宙へ進出するまでに発展する。人類は「モノリス」の謎を解き明かそうと、初の有人木星探査に出発した。そんな旅の途中、宇宙船ディスカバリー号をコントロールしていたAI(人工知能)の 「HAL9000」が乗組員に反乱を起こす。続編『2010年宇宙の旅』では、モノリスが電脳空間的であるとともにコンピュータ・ウイルス的であることが証明される。

この一本の映画で人類は未来へと旅立った。本展覧会では、映画の時代背景となった2001年から20年経過した2021年を迎える現代、「HAL9000」の夢、「モノリス」のヴィジョンとは何かを問い直し、 そして、1980、90年代の電脳文化勃興を経て、「宇宙旅行」、「AIの反乱」、「非人間的な知性」、「人工的な進化」といった現代の諸問題を芸術作品によって探求していく。(gyre HPより抜粋)
赤瀬川原平 (1934〜2014)「宇宙の罐詰」(1964/1994)
「私は蟹罐を買ってきました。そして罐切りで開けて中の蟹を食べました。蟹は私の体内に収まります。でその蟹罐をキレイに洗いました。それからレッテルを剥がし、もう一度キチンと糊をつけて、その罐の内部に貼り直します。 で開けたところをもう一度戻して隙間をハンダで密封します。その瞬間!この宇宙は蟹罐になってしまう。この私たちのいる宇宙が全部その蟹罐の内側になるのです」
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アニッシュ・カプーア(1954年〜)「Syphon Mirror- Kuro」(2008) 
「ヴォイド(=宇宙空洞)」の概念を探求しており、「2001年宇宙の旅」でも描かれた「5次元」(時間・空間に加えた重力)の 〈宇宙像=ブラックホール〉をあたかも表象しているかのよう、と。
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ダレン・アーモンド(1971〜) 「Perfect Time (14 x 1) 」(2013)、「Intime (4 x 2) 」(2014)
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ダレン・アーモンド「Somewhere Between XII」(2018)、「Somewhere Between III」(2018)、「Somewhere Between VII」(2018) 
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「Somewhere Between VI」(2018)、「Somewhere Between XV」(2018)
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奥の画像:ピエール・ユイグ(1962〜)「100万の王国」(2001) 映像作品。
ゲーム・漫画市場のためにキャラクターを開発する日本のデザイン会社K-Worksから、名無しの2次元キャラクターの著作権を46000円で購入し、購入したキャラクターに「アン・リー」 という名前とCGの身体を与えたのだそう。

手前:森万里子(1967〜)「トランスサークル」(2004) 縄文と太陽系惑星群の運行と結びつけた題材にして制作。現代において最も定義し難くなってきている『永遠』や『再生』というテーマを浮かび上がらせるために、作品『トランス・サークル』の制作を試みたとのこと。
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オノデラユキ(1962〜)「月の裏側 No.1」(2020)
コラージュ、ペインティング、フォトグラム、ドリッピングといった行為を刻印した作品。
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ネリ・オックスマン(1976〜)「流離う者たち」(2014) 映像作品 
太陽系の惑星空間で移動・居住する者のために 3D印刷で設計された衣服型の人工臓器。
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ジェームズ・ブライドル(1980〜)「Se ti sabir」(2019)  
かつて地中海に実在した古語を軸に、人間が、人工知能や人間以外の生物種とお互いに理解し合うための新しい方法を問いかける映像作品。作品のタイトルは、地中海で800年以上にわたって話されてきたピジン語「リンガ・フランカ 」 の挨拶の言葉に由来するとのこと。「リンガ・フランカ」は、トルコ語、イタリア語、カタロニア語、オシタン語、ベルベル語、ギリシャ語、アラビア語など 異言語間の人々が意思疎通を図るために用いた混成言語で、主に地中海で貿易する商人や船乗りたちの間で使われたとあるが、ピジン語と言えば、パプアニューギニアに行った時に、ニューブリテン島の数人だけがドイツ語なまりのピジン語を話したり、ピジン語から派生した挨拶を聞いたなと(その様子は こちらこちら
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プロトエイリアン・プロジェクト(Proto-A)「FORMATA」(2020�​�)
「2001年宇宙の旅」では、知性をもったモノリスという不可思議な存在が描かれることで、 地球の水を基盤として生まれた生命とは別次元の存在が示唆されたが、本作は、ミクロスケールの物質が生命のように振る舞うことを実際に可視化することで、人間にはまだ知られていない、新たな種類の生命のような地球外存在についての 思索をもたらす、とのこと。
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