昨年は明治神宮鎮座百年となって、明治神宮鎮座百年祭が行われていた。その様子は
そして今年も引き続き、「神宮の杜芸術祝祭」が行われており、明治神宮の宝物殿で彫刻展「気韻生動 ー平櫛田中と伝統を未来へ継ぐものたち」が開催されているので行ってみた。

宝物殿は、明治神宮宝物殿は境内の北に位置し、明治天皇・昭憲皇太后ゆかりの品々を収蔵・展示するための施設として、大江新太郎が設計を行い、1921年(大正10年)完成。戦火を免れ平成23年に国指定重要文化財となった。平成27年から屋根瓦の修復や耐震補強を行い、開館100年を迎える今年には、正門を完成当時の姿に戻す工事も完了し、今秋再開館を予定している建物。そこを一足先に公開して会場となっていた。
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宝物殿の右側奥には、代々木のDOCOMOタワーが見える。
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建物を左右対称に配置した構成で、中心となる展示ホールは校倉風大床造り(あぜくらふう・おおゆかづくり)、初期の鉄筋コンクリート造。展示空間は幅30m、奥行き15mの大空間で、2011年(平成23年)には建物と展示ケースが国の重要文化財に指定された。現代アート作品の展示は初めてとのこと。
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土屋仁応(つちやよしまさ) 
内側から透けるような柔らかな肌合いと、仏像のように水晶を入れた瞳が特徴の作風。モチーフである「鹿」は、神道において神の使いと言われる動物だが、一方、農作物を荒らす害獣でもある。夢と現実、人里と山、この世とあの世、あらゆる境界を自由に行き来して生きるシンボルとしている。
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土屋公雄 
「所在・記憶・時間」をテーマに、流木や自然木を集積する神話的なシリーズや、解体された家屋の廃材や灰を繊細かつ大胆に構成する作品を発表してきた。この作品はこの展覧会のために制作された全て新作。畳の上にアンティークガラスに包まれた石が置かれている。
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宮島達男
ガジェットと呼ばれるデジタルカウンターを用いた作品で世界的に知られているアーティスト。1980年代より宮島は、「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」という3つのコンセプトに基づき、これまで30ヵ国250ヶ所以上で作品を発表。

東アジアからアメリカ大陸まで様々な地域にみられる古代の記念碑や、永遠の生の概念をテーマにした「Pile Up Life」シリーズの作品。自然石をかたどったところにLEDが埋め込まれている。
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これまで見た宮島達男氏の作品は :

名和晃平 
2018年にパリのルーブル美術館ガラスのピラミッドに展示した「Throne(スローン)」の約1/7のスケールの作品。スローンとは玉座を意味し、曲線と直線が複雑に混ざり合った造形で、小さな玉座も。京都の木彫職人とのコラボレーションにより、山車の形態に金箔を施している。
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以前に名和晃平氏の作品を見た作品は :

平櫛田中(平櫛田中氏の作品のみ全て撮影不可の為、画像はHPから)
「唱歌君ヶ代」海軍服を着た男の子が右手に帽子、左手に楽譜を持って歌っている。29才の時の作品で、1901年(明治34年)に明治天皇が展覧会でご覧になり、宮内庁の買い上げを受けた作品。洋服の質感、特にスカーフの描写は木彫とは思えないほどの技術で、友人の米原雲海は「3畳で制作した作品が宮内庁買い上げになったのは初めてだろう」と語った。
唱歌君ヶ代

「応神天皇像」68才の作品。山中八幡神社に奉納された応仁天皇像のブロンズ像。地元の青年学校指導員の依頼に応えて、故郷の山中八幡神社に寄進したが、平櫛田中は、その奉納のために1941年(昭和16年)に50年ぶりに故郷の岡山県井原市に帰郷を果たした、と言われている。
応神天皇像

「幼児狗張子(ようじいぬはりこ)」幼子が張子の犬で遊んでいたところ、別の玩具に目移りし、張子の犬を放り出して、手を伸ばして求めている一瞬を捉えた作品。モデルは長男の俊郎氏。残念ながら、俊郎氏はのちに結核のため18才の若さで亡くなった。明治天皇の手元にあった作品。
幼児狗張子

「尋牛」禅の修行と見性(仏教の禅において、人間に本来備わっている本性を見極めること)の過程を10の図で示した『十牛図』の最初の場面を表している作品。失った牛を探す男の姿。
尋牛

「牧人」空を仰いでくつろぐ老人と、その膝の上で寝入る仔羊の姿。文学や歴史、中国の故事など、特定のものから取材したものではない、珍しい作品とされており、初出展は大正12年の院展。
牧人

「試作鏡獅子」代表作である「鏡獅子」の試作版。名優として名高い6代目尾上菊五郎が演じる鏡獅子の姿を歌舞伎座に通い、座席を変えながら目に焼き付け、菊五郎の協力の元、装束を脱いだ姿を制作、最終的には等身大よりも大きな作品として仕上げられた。その作品は、国立劇場のロビーに今も展示されている。
試作鏡獅子

「慶典読書奉仕」平成天皇陛下誕生の折の浴湯の儀式で、読書奉仕する市村瓚次郎氏の肖像。市村氏は、中国史・東洋史研究の碩学で、1933年(昭和8年)、皇太子誕生にあたり、御名の選定者となり、浴湯の儀に置いて読書奉仕の栄を担った。この像はその時の姿。
慶典読書奉仕

「原翁間日」原嘉道氏は、現在の長野県須坂市に生まれ、東京弁護士会会長、中央大学学長、司法大臣など、明治から昭和初頭にかけて法曹界、政界で主要な役割を果たした人物。この作品は、制作の依頼を受けた平櫛田中が、原邸を訪問すると、原氏は普段着のまま応接室に入ってきて、椅子にちょこんと座ってしまい、その格好がおもしろく、そのまま写したものと言われている。彩色は日本画家中村岳陵によるもの。椅子の上に敷かれていた動物の毛皮の上に正座しているのだが、まるで尻尾が生えているみたいに見えた、、、狸親父風?
原翁間日

以前に見た平櫛田中氏の作品は

その2に続く。