「神宮の杜芸術祝祭」による、明治神宮の宝物殿での彫刻展「気韻生動 ー平櫛田中と伝統を未来へ継ぐものたち」<1> からの続き。


secca(せっか)金沢を拠点に、伝統工芸から最新のテクノロジーまで、様々なものづくりをするクリエイター集団。料理人とのコラボレーションによる器、ミュージシャンとコラボレーションした楽器、漆塗り職人とコラボレーションしたアート作品など、常に新しい挑戦を行っており、この作品では、小さな木のピース15000枚で形づくる狛犬を大胆な発想と緻密な計算で制作。
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ガラスの反射が映り込む為、この画像は葉書から。
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澄川喜一 昨年、文化勲章を受賞。東京芸術大学学長を務め、「そりのあるかたち」シリーズで知られていて、東京スカイツリーのデザインを監修。幼少期から見ていた山口県岩国市の錦帯橋の構造美に惹かれ、「反り(そり)と起り(むくり)」という日本刀のような曲線が生む緊張感と美しさを追求してきた。
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以前に見た作品の様子は :
 

深井隆 過去から現在そして未来へと続く時間の流れの中で、人間の存在とは何かという問いを、椅子、馬、翼、などのかたちを借りて表現しているアーティスト。1981年の個展から画廊の空間に1つの作品のみ展示する方法で発表を行ってきた。「箱」型の今回の作品は、初期のマケット(模型)として作られ、2つの箱にはそれぞれアーティスト自身の「物語」が詰まっている。
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小林正人 1997年からベルギーのゲント市を拠点としている。たびたび絵画作品の中に馬は登場してきたが、それらは時には崇高な生き物として、時には作者自身の分身として描かれた。しかし今回の新作は特別に、明治天皇の御料馬、金華山号を描いている。
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因みに、この絵画の裏側には、作者のプレートと共に何故だかスコップが付いていた。。。???
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以前に見た小林氏の作品の様子は
 

原良介 キャンバスが透けるような特徴的な画面で、絵の具を重ねず一層のみで描かれている。新作の「神宮の杜」には、コバルトグリーンの明治神宮の杜と参道が描かれている。
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舟越桂 思索的でエレガントな木彫作品で知られ、特に楠の木材を好んで作品化している。「冬の本」は初期の代表作で、モデルとなったのは、ある個展会場で出会った女性で、制作過程においても迷いなく一気に気持ちよく仕上げた作品だと言われている。
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この作品は今年初頭に開催された個展で見た。その様子は : 

棚田康司 一貫して木彫に取り組み、日本古来の木彫技法である「一木造り」によって人間像を彫りつづけている。山のつづら折りの道を歩き登頂を目指すことが、制作過程の中で葛藤することと重なり、その時思いついたのが本作シリーズの「つづら折りの少女」 。 少女はつづら折りの一枚布を纏ってはいるが、具体的に表出しているのは鎖骨から上の頭部だけ。このシリーズでは、聖なる存在と女神になりきれていない未熟な存在、その両方が絡み合うところから生まれたとのこと。
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昨年、ほかの「つづら折りの少女」を個展で見た。その様子は

保井智貴 主に乾漆による立体の作品を制作。乾漆とは、奈良の興福寺にある阿修羅像などと同じ技法で、仏像をつくるのに用いられた技術で、粘土で作った像を石膏で型取り、その上に麻布と漆を何度も塗り重ね、乾燥させる工程を繰り返して制作される。モチーフのイタリアングレーハウンドは、古代エジプト、ルネッサンス時代など、多くの芸術家が手がけた彫刻や肖像画にも登場する犬。
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須田悦弘 本物と見紛う精緻な花や草を木彫でつくり、それらを思いがけない場所に設置して空間全体をインスタレーション作品とする手法で知られる。明治神宮に生えている草に注目した作品。須田氏の展覧会に行きたかったのだが、山梨で開催されていた為に行けず。今回初めて見ることが出来て良かった。
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三沢厚彦 動物の姿を等身大で彫った木彫「Animals」シリーズで知られる作家。
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これだけ有名な彫刻家さん達の作品を一同に見ることが出来、しかも宝物殿に入ることが出来たのだが、さらに入場無料なのには驚いた。