田窪恭治氏の個展「Camélia」。ポストもの派世代である田窪氏のヤブツバキを表現した切り紙絵13点が並ぶ。
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人間が他の生物に敬意を払って共存しながら、他の要素を取り入れたり組み換えることで立ち現れる新たな風景、つ まり「風景芸術」を生み出すことで、既存の世界と一見変わらぬようでいて、全ての生物が豊かに暮らせる総合的な世界 が完成する、と田窪氏は考えておられるとのこと。
椿の切り紙絵
「光」と「色」に関する人類共通の興味は、特にニュートンの「光学」とゲーテの「色彩論」を経て、近代絵画以降大 きな表現の要素となりました。ドラクロワやターナー、マネやモネの新しい絵画の表現方法、そしてセザンヌやマチスや モンドリアンなど、独自の「色」に対する表現がありました。 現在では、さまざまな技術革新とともに「色」から「光」へ、あるいは「色」と「光」を総合的に取り入れた方法が一 般的になってきましたが、特にマチスが、その後半生で多く制作した色紙を切って貼り付けた「切り紙絵」の手法と、最 晩年の《ロザリオ礼拝堂》の色ガラスを透した
光が室内に入り、床や壁(タイル画)、天井などに反射して現れる色と光 のハーモニーによる表現に影響を受けた私は私自身の「風景芸術」を実施するために、フランスの《林檎の礼拝堂》や金刀比羅宮の《神椿》から2017年に完成した聖心女子大学の自然石モザイクによる《Le Pommier d’or(黄金の林檎)》 を作りました。これらの作品から特定の風景の本質的なイメージをそれぞれ「林檎」や「ヤブツバキ」「黄金の林檎」に 見出した私は現在さらに新たな「風景芸術(註)」に向けて進み始めています。 今回の《椿の切り紙絵》は、私がこれから始める「風景芸術」の最初のイメージなのです。
田窪恭治
「Camélia」2021
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「ヤブツバキ」2021
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場所:KOTARO NUKAGA GALLERY
会期:4月17日~6月5日’21

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