「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展に行くことに。
1883年にアメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスに設立された、世界各地の約9万点を超える美術作品を収蔵しているミネアポリス美術館は、約9500点の日本美術を収蔵している。今回の展示品は全てミネアポリス美術館からの出品による里帰り展。
雪村周継「花鳥図屏風」室町時代16世紀
右隻には白梅と8羽の鷺と二匹の鯉を描いて春を、左隻は柳と11羽の鷺と6羽のツバメで夏を描いている。右隻の左上には満月が描かれ、中国の詩人の句が連想されるようになっているのだそう。
山田道安「龍虎図屏風」室町時代16世紀
禅宗では、龍虎が自然の理の象徴とされていて、龍がうなれば霧がたち、虎が吠えれば竹林に風が起こるとされる。
狩野探幽「瀟湘八景図屏風」江戸時代・寛文3年(1663年)
中央やや左に満月が川の上にかかっている様子を表し、中央部分をあえてすっきりと。
伝・狩野山楽「四季耕作図襖」17世紀
大覚寺の正寝殿を飾っていた農村風景の襖絵で、16面のうち、障子腰板貼付の8面とこの襖絵8面とからなる。今回来日したのは襖絵8面。幅8メートルに迫る大きさで、京狩野の作風を伝えている。
360度ぐるりと正寝殿を飾っていた絵は、季節による農作業の様子が順番に描かれている。
狩野山雪「群仙図襖」(旧天祥院客殿襖絵)正保3年(1646年)
中国の仙人達の姿を描いている。狩野派では、教育の過程として、中国の仙人などを写し描くことが重んじられていた。蛙とたわむれるガマ仙人など9名の仙人と童子が描かれている。
作者不詳「誰が袖図屏風」江戸時代17世紀
誰が袖図屏風と言えば、昨年のサントリー美術館リニューアルオープン記念展で、実物の調度品と比較しながら、誰が袖屏風の世界観を表現していた。その様子は:
作者不詳「西行物語図屏風」江戸時代16世紀末~17世紀初頭
平安時代末期の歌人である西行の生涯の逸話や伝説を記した「西行物語」から描いている。右隻には、庵中で西行が梅を眺めている。
左隻では熊野路を旅する西行が斎垣(いがき)に和歌を書いている場面が描かれている。
伝 住吉如慶「きりぎりす絵巻」江戸時代17世紀
擬人化された虫たちの恋愛物語を描いた絵巻。玉虫姫が、セミの右衛門督(うえもんのかみ)と結ばれ、赤ん坊のセミを出産した部分の断簡とのこと。鳥獣戯画は有名だが、こんな面白い絵巻もあったとは!
因みに、東京国立博物館で開催されている鳥獣戯画展の様子は、
作者不詳「武蔵野図屏風」江戸時代17世紀
武蔵野図は江戸時代前期に流行した主題。東国は月の名所として描かれ、武蔵国からは富士山が望めるので富士山が描かれることが普通なのだが、これには描かれていない。そのパターンが出来上がる以前の作品だろうと。
酒井抱一「楸(きささげ)に鷦鷯(みそさざい)図」江戸時代19世紀
琳派の祖とも言われる酒井抱一。楸とサザンカの枝にとまる鷦鷯は、「十二ヶ月花鳥図」の陰暦10月に当てられており、晩年の作品と考えられている。
酒井抱一「源氏物語『秋好中宮』・白萩図」江戸時代19世紀
十二単の女性は秋好中宮で、光源氏の妻のひとりである紫の上に中宮が紅葉と和歌を贈る場面。
画像が多い為、その2 に続く。
場所 : サントリー美術館
会期 : 4月14日〜6月27日2021

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1883年にアメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスに設立された、世界各地の約9万点を超える美術作品を収蔵しているミネアポリス美術館は、約9500点の日本美術を収蔵している。今回の展示品は全てミネアポリス美術館からの出品による里帰り展。
雪村周継「花鳥図屏風」室町時代16世紀
右隻には白梅と8羽の鷺と二匹の鯉を描いて春を、左隻は柳と11羽の鷺と6羽のツバメで夏を描いている。右隻の左上には満月が描かれ、中国の詩人の句が連想されるようになっているのだそう。
その月のもと、泳ぐ鯉がなんともユーモラス。
禅宗では、龍虎が自然の理の象徴とされていて、龍がうなれば霧がたち、虎が吠えれば竹林に風が起こるとされる。
中央やや左に満月が川の上にかかっている様子を表し、中央部分をあえてすっきりと。
伝・狩野山楽「四季耕作図襖」17世紀
大覚寺の正寝殿を飾っていた農村風景の襖絵で、16面のうち、障子腰板貼付の8面とこの襖絵8面とからなる。今回来日したのは襖絵8面。幅8メートルに迫る大きさで、京狩野の作風を伝えている。
360度ぐるりと正寝殿を飾っていた絵は、季節による農作業の様子が順番に描かれている。
狩野山雪「群仙図襖」(旧天祥院客殿襖絵)正保3年(1646年)
中国の仙人達の姿を描いている。狩野派では、教育の過程として、中国の仙人などを写し描くことが重んじられていた。蛙とたわむれるガマ仙人など9名の仙人と童子が描かれている。
作者不詳「誰が袖図屏風」江戸時代17世紀
誰が袖図屏風と言えば、昨年のサントリー美術館リニューアルオープン記念展で、実物の調度品と比較しながら、誰が袖屏風の世界観を表現していた。その様子は:
作者不詳「西行物語図屏風」江戸時代16世紀末~17世紀初頭
平安時代末期の歌人である西行の生涯の逸話や伝説を記した「西行物語」から描いている。右隻には、庵中で西行が梅を眺めている。
左隻では熊野路を旅する西行が斎垣(いがき)に和歌を書いている場面が描かれている。
伝 住吉如慶「きりぎりす絵巻」江戸時代17世紀
擬人化された虫たちの恋愛物語を描いた絵巻。玉虫姫が、セミの右衛門督(うえもんのかみ)と結ばれ、赤ん坊のセミを出産した部分の断簡とのこと。鳥獣戯画は有名だが、こんな面白い絵巻もあったとは!
因みに、東京国立博物館で開催されている鳥獣戯画展の様子は、
作者不詳「武蔵野図屏風」江戸時代17世紀
武蔵野図は江戸時代前期に流行した主題。東国は月の名所として描かれ、武蔵国からは富士山が望めるので富士山が描かれることが普通なのだが、これには描かれていない。そのパターンが出来上がる以前の作品だろうと。
酒井抱一「楸(きささげ)に鷦鷯(みそさざい)図」江戸時代19世紀
琳派の祖とも言われる酒井抱一。楸とサザンカの枝にとまる鷦鷯は、「十二ヶ月花鳥図」の陰暦10月に当てられており、晩年の作品と考えられている。
酒井抱一「源氏物語『秋好中宮』・白萩図」江戸時代19世紀
十二単の女性は秋好中宮で、光源氏の妻のひとりである紫の上に中宮が紅葉と和歌を贈る場面。


画像が多い為、その2 に続く。
場所 : サントリー美術館
会期 : 4月14日〜6月27日2021

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